パーパス経営―30年先の視点から現在を捉える [Kindle]

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  • 東洋経済新報社
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感想・レビュー・書評

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  • 経営の話なんだけど、とりあげられている内容が幅広く、渋沢栄一やドラッカーあたりはまだ経営つながりが素直だけど、福岡伸一の動的平衡とか、カミュまで出てきて幅広い。それらの論がすべて経営につなげられていく理路はなかなか楽しい。パーポスとは、志とされていて、そこから本書では資本主義から志本主義へという話になっていく。志を涵養するために、さまざまなことを学び、考えなければならない。

     DXとかITということがもてはやされているが、IT技術的なことはいずれみんなが学び、コモディティ化していく。そこで求められるのは、それら技術をいかに使いこなすかという、MX(マネジメント トランスフォーメーション)ということでね。

     本書を読んで、知識創造企業を読む気になった。学び、そして自分の頭で考える力をつけたいものだ。

  • 資本主義の先に来るもの、それは「志(パーパス)」に基づく「志本主義」である。国内外の名だたる企業の変革に関わってきた著者が、時代を超えた企業経営の真髄に迫る書籍。

    資源消費、環境汚染などの課題を抱え、資本主義は破綻しつつある。これに代わる候補として、次のようなものがある。
    ・人本主義:「ヒト」が経済や企業活動の主体となる。
    ・知本主義:カネではなく「知」を成長のドライバーとする。
    ・志本主義:見えない未来に向けて「志」を貫く。
    古来、ヤマト魂(志)を有する日本は、志本主義をめざすべきだ。

    志本主義は、新しい理念ではない。例えば渋沢栄一は、日本に資本主義を根付かせることに奔走する一方、『論語と算盤』(1916年)で、利益に流されない高い倫理観と志の重要性を説いた。そして今、世界は渋沢の思想にたどり着きつつある。

    今の世界の資本市場の潮流として、次のようなものがある。
    ・ESG:
    環境や社会に配慮し、企業統治の仕組みを強化する。コストが上がり、長期的にリターンを蝕むしばむ恐れがある。

    ・SDGs(持続可能な開発目標):
    社会課題の解決を目的とする。売上が上がっても、コストがそれ以上にかかる。

    ・CSV(共通価値の創造):
    社会価値を高めながら、自らの経済価値も高める。欧米では21世紀型の資本主義モデルとして広がりつつある。

    今のSDGsは競争優位につながらない。「新SDGs」をめざすべきだ。これは、現行SDGsの「S:サステナビリティ(持続可能性)」に、次の2つの視座を加えたものである。
    D:デジタル技術:イノベーションを実現する手段
    G:グローバルズ(複数の世界):市場の特性は地域で異なり、かつ通底している世界があちこちに存在するという視点

  • 名和さんの「志」経営への熱い想いを感じられる。幸福主義・幸福への追及が叫ばれる中、脱成長に逃げるのではなく、ワクワクするような無形資産経営をしろというエールが感じられた

  • Audibleで聞いて手元に置いておきたいと思ったので、書籍も購入。

  • パーパス(志)の重要性について、とても多角的な観点から事例を用いながら深く論じられている。とてもわかりやすい。
    たしかにESG、SDGs、DXという欧米型資本主義から派生した経営論が日本でも蔓延し、日本企業ならではの良さが消えてしまっている。
    いずれも手法論であり、なんのためにやるのか?が抜け落ちている。それがまさに志だと思うが、高度経済成長期の中で新たに赴任してきたCEO達は、そこまで熱い想いがなかったのかもしれない。
    まさに今パーパス策定PJに従事中だが、ぜひ経営層にことの重大さを理解してもらい、志に突き動かされる経営によって持続的な成長を実現してもらいたい。

  • パーパス経営の話だけではなく全体的な経営学の系譜がまとまっている本。経営学の入門テキストとしても使える。(ただし長い...)
    筆者はパーパス経営→渋沢栄一さんの論語と算盤への回帰ともとらえている。大河の時に読んだ論語と算盤をもう一度読み直してみたくなった。

  • audiobook
     昨今話題のパーパス経営について述べた本。著者はマッキンゼーで長らくコンサルタントを務めて、現在は大学教授をやりつつ複数の大手企業の社外取締役を兼任する名和先生。
     CSRとかESGとかSDGsとか、近年の経営にまつわるキーワードの変遷に触れつつ、武士道や渋沢栄一など日本古来の価値観に立ち返り、これからの時代に大切なのはパーパス=志と説いている。ESGやSDGsには否定的な見方をしているが、まぁそうかなと思いつつも、結局は思考のツール・フレームの一つに過ぎず、使い方次第かなと思う。
     パーパス経営以外に経営トレンドの変遷についてもかなり突っ込んだ分析・解説をしており、だいぶ肉厚な内容。何回か聞いても消化しきれない部分が多いが、大筋は納得。日本的経営・価値観の良さに立ち返っているのも勇気づけられるポイント。読み返す・じっくり読む価値のある一冊。

  • Kindleなのでお貸しすることはできません。。申し訳ありません。

  • マッキンゼー、ボストンコンサルティングを経験し、ユニクロほか多くの企業の外部取締役を務める著者がCSVフォーラム主催や経営実務を通して環境、社会、収益を同時に達成する志本主義経営の考え方を説いた本。国内外のCSV経営、パーパス経営に取り組む企業の実例紹介を多く含む。

  • 素晴らしい名著。
    もう2回読みました。
    ぜひ多くの人に読んでほしい。

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著者プロフィール

一橋大学ビジネス・スクール(国際企業戦略科)客員教授
東京大学法学部卒、ハーバード・ビジネス・スクール修士(ベーカースカラー授与)。三菱商事の機械(東京、ニューヨーク)に約10年間勤務。マッキンゼーのディレクターとして、約20年間、コンサルティングに従事。自動車・製造業分野におけるアジア地域ヘッド、ハイテク・通信分野における日本支社ヘッドを歴任。2010年一橋大学ビジネス・スクール(国際企業戦略科)教授、20年より現職。

「2021年 『稲盛と永守 京都発カリスマ経営の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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