硝子の塔の殺人 [Kindle]

著者 :
  • 実業之日本社
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感想・レビュー・書評

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  • 知念実希人先生の長編ミステリー作品。
    めちゃくちゃ計算されていてとても面白かった!!
    古典ミステリーから始まり最近の作品の名前までカバーしていて、にやりとしてしまいました。偏愛的とも言えるミステリーマニアが作り上げた硝子館で巻き起こる連続殺人。一条が犯人としてスタートしたかと思いきやまさかの次々と自分の知らないところで次々と人が殺されていく。その中で真の犯人を暴き罪をなすりつけるという目的で「名探偵」・碧月夜とともに真相に挑む...

    という神津島太郎が作り上げた前半部分のストーリーを乗っ取った犯人を一条が解き明かすというのが後半にあるという大どんでん返しが待っている。そこからの一条の探偵としての覚醒ぶりと真の犯人の豹変ぶりがとてもえげつなく、異常とも取れるのに、とても魅力的だと感じるのが素晴らしいと思いました。ミステリーをたしなむものが一度は思い描く『名探偵』に会いたいという願いを、一番純粋で歪んだ形でここまでさせてしまうのかという恐怖もありつつ、爽やかな終わりなのがとても印象的でした。

    これはミステリーにを読む全ての人に送る傑作。ありがとうございました。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    碧月夜:坂本真綾
    一条遊磨:宮野真守
    神津島太郎:大塚明夫
    老田真三:銀河万丈
    巴円香:富田美憂
    酒泉大樹:石川界人
    夢読水晶:くじら
    左京公介:諏訪部順一
    加々見剛:金尾哲夫
    九流間行進:古川登志夫

    • マメムさん
      初コメです。
      面白いキャスティングですね♪
      私の中の夢読水晶は、沢城みゆきさんをイメージしてました^_^
      初コメです。
      面白いキャスティングですね♪
      私の中の夢読水晶は、沢城みゆきさんをイメージしてました^_^
      2023/10/22
    • S.Rさん
      マメムさん、ありがとうございます。
      碧は中性的なイメージがあったんです沢城さんも似合いますよね!
      マメムさん、ありがとうございます。
      碧は中性的なイメージがあったんです沢城さんも似合いますよね!
      2023/10/22
    • マメムさん
      S.Ryoutaさん、お返事ありがとうございます。
      碧は私も坂本真綾さんがピッタリだと感じました♪
      S.Ryoutaさん、お返事ありがとうございます。
      碧は私も坂本真綾さんがピッタリだと感じました♪
      2023/10/22
  • ミステリーマニアのためのミステリー。「新本格」ミステリーの集大成的な作品。

    天才科学者にして重度のミステリーフリーク・コレクターの神津島太郎氏が、ミステリーに関する重大発表を行うため山奥に孤立した館に、名探偵、ミステリ作家、刑事、霊能力者、ミステリ雑誌の編集者、ミステリーマニアの医師を集めた。そして、次々と起こる殺人事件。

    クローズドサークル、メタミステリー、どんでん返し、溢れるミステリー愛。「山奥に建つガラスの尖塔、雪崩によって生じたクローズドサークル、連続して起こる密室殺人、ダイイングメッセージに血文字に暗号、個性的な招待客たち、秘密の地下牢とそこに転がる白骨死体、果ては隠し扉に秘密の階段。まさに、古き良き本格ミステリ小説の世界そのものだ」(by遊馬)。

    読んでいて「インシテミル」を思い出した。本書の中でも、おかしな建物で起こる連続殺人を扱ったミステリーについて遊馬に「「綾辻行人の『館シリーズ』をはじめ、島田荘司の『斜め屋敷の犯罪』、東野圭吾の『十字屋敷のピエロ』、我孫子武丸の『8の殺人』、二階堂黎人の『人狼城の恐怖』、歌野晶午の『長い家の殺人』、米澤穂信の『インシテミル』、挙げればきりがない」と言わせている。

    凝りに凝った作品。ミステリーマニアのうんちくも、コメディーっぽく語られてるのでイヤミがなかった。

  • 謎解きミステリー。
    前半は読み進めるのに苦労したが、後半はどうなっていくのか気になり、サクサク読み進められる。どんでん返しが何度もあり、少々混乱する事も(無理矢理なところもあり)。
    最後まで面白かった。

  • 久々の知念実希人。kindle unlimitedで読めたので読んでみた。
    自身が医者であるということもあり、医療現場を舞台とした緻密で繊細な物語が特徴的な作家であるが、この本は「医者」の要素は少なめに、その代わりミステリー要素全開のストーリーとなっていた。
    物語の中にはミステリーをこよなく愛する、いわゆる"マニア"的な人物が多く登場するが、こういった登場人物を描ける著者のミステリーマニアぶりに何よりも驚かされた。
    最初から犯人がわかっている中で真相を解き明かしていく、いわゆる”倒叙ミステリー”もの。ある山奥の奇妙な建物で起きる連続殺人事件、しかもそのどれもが「密室」で行われていた…そこに居合わせた名探偵が謎を解き明かし真相に迫る。驚くほどのベタすぎるミステリー笑
    もちろんそれだけで終わる話ではなく、二転三転と物語は展開しもちろん面白くはあるのだが、まぁそれなりかなと。ミステリーマニアにはたまらない一冊なのかもしれない。映画化しても面白い作品かも。

  • 知念実希人さんずっと気になっていてやっとデビュー。
    基本的に寝る前に読書タイムを設けるので、毎晩暗闇の中で読み進めるのが怖かった。笑
    久しぶりに本格的なミステリ小説を読んで、ミステリの世界へずるずると沼落ちする感覚を味わった。

    知念先生自身がかなりミステリマニアなことが随所に分かるし、医師でもあるので医療に関する知識が存分に盛り込まれた所が、ミステリ小説の中でも唯一無二なんだろうな。

    ここまで緻密に作り込まれた作品を読むのは楽しい!アガサクリスティの「そして誰もいなくなった」を彷彿としながら最後は見たこともない畳みかけでした。

  • Audibleで読了しました。最高に好きな作品でした!
    冒頭に犯人の独白から始まる倒叙ミステリーでありつつ、ただのミステリーで終わらない大仕掛けがあり、終始ワクワクが止まらない作品です。
    様々な職業の登場人物が、館シリーズのような独特な建造物に閉じ込められ、殺人事件が起きるという王道ミステリー小説的な設定で、なんと名探偵も登場するということで、これだけでもミステリー好きにはたまらないですが、作中で実在するミステリー小説がものすごい数語られており、どれだけミステリー好きを興奮させてくれるんだよ、、!とテンション上がりまくりでした。
    ミステリーの仕掛けも比較的ロジカル且つフェアだなと感じましたので、自分は全くわかりませんでしたが、謎を解ける人もいるのかも。
    Audibleで聴きましたが、本でも改めて読んでみたいなと思いました。

  • 感動しました!ミステリへの愛にあふれています!

    ミステリの世界的の歴史を尊重しつつ、
    国内ミステリの重鎮への愛が伝わります。
    包括すると「ミステリを愛する全ての人へ」
    って帯がすべてを物語っています!

    これ・・・リアルで語り合いたいですね。
    この素晴らし作品を本音で「素晴らしかった」と
    言えるには、ある程度のミステリ経験が必要だと
    思うんですよ。
    とか言ってるわたしも海外作品は全く無知でせいぜい
    クリスティのそして誰もいなくなったぐらいです。
    でも国内ミステリの経験値が重要だと思うんですよ。

    何より綾辻行人、次いで島田荘司という天才たち。
    あとはもう豪華な、なんというか素晴らしい方々。
    そして、テンプレと言ってはいけないですが、
    クローズドサークル、特徴的な登場人物、
    平面図つきの館、というシチュエーション。
    ・・・最高です。

    私が森博嗣を好きなので、作中になかなかでてこないな
    と思っていたのですが、真賀田四季が言及されていて
    嬉しかったです。

    あとさ、オチがさ、美しいよね。
    わたしが好きな森博嗣のような、天才たちの掛け合いで
    締めているのが、パーフェクトでした!

    ああ、これは・・・なんか・・・超える作品って難しいよね。

  • 多くの方が言われるように、ミステリへの愛にあふれた作品です。これでもか、これでもかと投げ込まれるミステリうんちくがとても楽しく、まるでマニアやオタクのミステリ談義のようですね。
    私はまだまだミステリの知識が浅く、作中に出てくるミステリ作家の大半は読んだことがないのですが、一読しただけでミステリの歴史について語れるような気がしてきました。
    ミステリへの愛に溢れているその中でも、綾辻行人さんへの愛は別格です。
    私も綾辻行人さんの館シリーズだけでも早くコンプリートしようかな。初心者の私にはミステリ紹介本としても楽しめました。

    そして物語ですが、冒頭で主人公が一件の殺人の犯人であることが既にわかっています。その後、犯人が別の2件目、3件目の殺人が起こるのです。
    舞台は円錐形のガラスの塔。その中で起きる密室殺人事件。最後のドンデン返しに次ぐドンデン返しはノンストップで読みました。
    ミステリを語ることはできませんので単純な感想ですが、おもしろい!の一言です。

    知念さんも医師とのことですが、医師作家って多いですね。天は二物を与えず、という諺は、一番間違っている諺だと感じます。

  • 登場人物が少ないところが読みやすいです。展開は、面白くスラスラ読めました。

    登場人物の誰にも感情移入ができなかったところと、ミステリーをほとんど読まないので途中で出てくる大量のミステリー本の内容が全くわからなかったので、評価3。

    ミステリー好きであれば、より楽しく読めたかもしれません。

    あとは、どんでん返しをするためだと思いますが、読み手が謎解きをできるヒントはあまりなく、月夜の言動あたりに変化を持たせただけのような...。というより、もしかしたら、私が全くわからない作中のミステリー本の紹介の中にヒントがたくさん散りばめられているのかなと推測しています。

    要するに、ミステリー好きのためのミステリーです。

  • ガラスの館に集められた癖のある面々。
    そこに殺人事件が起きて、謎解きが始まる王道ミステリー。
    ミステリー好きの名探偵と名乗る女性とその助手になる男性医師で謎解きをすることになるが、結末は意外な展開に。
    作者が相当にミステリー小説が好きであることがわかり、同じようにミステリー好きな人からするとより楽しそめそうな作品。
    個人的には、内容にミステリー愛が強すぎて、ちょっと疲れました笑

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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