偽りの春　神倉駅前交番　狩野雷太の推理 (角川文庫) [Kindle]

著者 : 降田天

• KADOKAWA (2021年9月18日発売)

感想・レビュー・書評

[音あんさんの感想 · 2022年7月16日]

狩野雷太警察官の洞察力が本物の刑事なんだと感じられた。
自分にやましい状態だとなにかしらボロがでる。
素人はそれを、きづかないが刑事は気付きそこをつかれどんどん矛盾が生じてきてしまい、最後には自白させられる。
その自白までの流れが狩野雷太を通じて描かれており一気読みしてしまった。

繋がっていないエピソードかと思っていたが最後の2話が急に繋がりはじめ、最後の結末は驚かされた。

最後の話
サロメの遺言

ある漫画家が声優の元彼女を殺害した疑いで捕まった。取り調べを黙秘し、狩野雷太にしか話さないと条件を出してきた。
初めは狩野の部下月岡が取り調べをし、最後に狩野が取り調べをしに来た。

初めの一言に「送検します」というと容疑者高木カギこと大久保泰旧制で苗字は変わったが羽瀬倉幹雄の息子が勝ったと思ってしまった。その矢先に狩野は威力業務妨害でと改めて言った。

すでに狩野は高木カギの計画に気づいていた。
取り調べに来るまでに実家により二季との繋がりを見つけ、二季にも接触し、ビデオも確保していた。

高木カギの復讐は再度警察に冤罪を作らせること、裁判中に被害者エミリが死んだ一部始終が映ったビデオを公表する段取りであった。

[tamasan7さんの感想 · 2022年9月21日]

久々に本を読んだ。短編集だが、どれもするする読めておもしろかった。ただ、ちょっと鋭すぎるというか、なぜそこまで分かるの？という部分もあった。しかし、それこそ、狩野が交番勤務のお巡りさんだからかもしれない。市民をよく観察しているからこそ、怪しい人物が見抜けるかな。

[TＴさんの感想 · 2023年3月10日]

犯人の感覚で追いつめられる感じ
どんどん引き込まれました

[ほんやだワンさんの感想 · 2022年5月16日]

犯人の年齢性別動機も、事件の内容も多種多様。
主人公との関わり方（捕まり方？）も多様。
でもって、主人公が「主人公的じゃない」のが独特で面白い。

[塔子さんの感想 · 2022年3月15日]

読後、感嘆と満足の息を吐きだしてしまった。
古畑任三郎のように飄々としながらも自分のペースへと持っていき、犯人の犯行を暴かせる、魅力溢れる警察官の狩野さんと出来る相棒位置の月岡さん。
叙述トリックも巧みでありながら、各話の犯行に及ぶ過程、追い詰められていく緊迫感、その心の裡なる心理描写がとても丁寧。
そしてリアル。手に汗握る犯人の心の動きにハラハラと、そしてそれぞれ抱える哀しい闇の描かれ方に感情を揺さぶられ、涙してしまう事も。
犯行を見抜き、逮捕して決着ではなく、そこに隠された別の真相に全話騙され、驚きと共に重く深いドラマを見る。
切なさに胸を締めつけられながらも、そっと波紋を広げるような人の温かさも落とされている、素晴らしい作品でした。
また狩野さんに会いたい、そう思いたくなる。

[hayasick0103さんの感想 · 2021年10月30日]

どこか軽薄な雰囲気の交番勤務の狩野。軽いお喋りかと思ったら、いつの間にか…。そんな彼の少しの不気味さと、犯罪者の苦渋の思いがクセになる連作短編5話。刑事から異動になったという過去のエピソードが読んでみたい！と思ったら4話5話で判明。どれも最後の一捻りに唸らされる。次は長編との事で楽しみ。この作家さんの文章から滲み出るこの雰囲気、好きだなぁ。読後ズッシリくる読み応え。面白かった！

[blackodysseyさんの感想 · 2022年11月23日]

いつも髪を切ってもらっている本好きの美容師さんに紹介してもらいました。 私も知らないお初の作家さんです。
主人公は元刑事、交番勤務の、狩野雷太。神倉駅前交番の事件簿、短編小説です。
ミステリー小説で、最後に主人公が真相を暴くって内容。それぞれの事件内容が凝っており、とても楽しめました。今後、開拓しようかなと思い高評価。

[topitopiさんの感想 · 2022年10月3日]

ヘラヘラしたチャラい感じの交番勤務の狩野雷太との会話に犯人達は必ずボロを出す。相手の動き、顔の表情、話しかたから、相手の嘘、隠したいことを読み取る、流石「落としの狩野」

[yonemyさんの感想 · 2021年11月13日]

倒叙もの。続編に期待

[masahi-6さんの感想 · 2021年10月25日]

色んな事情や思惑の犯罪者たち。
そんな彼らの前に現れるのは、つかみどころのないお巡りさん。
町の巡査なんぞに見破られるはずが。あれ？
ねっとり追い詰めるのが、むしろ気持ちいい。

著者プロフィール

（ふるた・てん）プロット担当の萩野瑛（はぎの・えい）と執筆担当の鮎川颯（あゆかわ・そう）による作家ユニット。少女小説作家として活躍後、「女王はかえらない」で第13回『このミステリーがすごい！』大賞を受賞し、同名義でのデビューを果たす。「小説　野性時代」掲載の「偽りの春」で第71回日本推理作家協会賞（短編部門）を受賞。同作を収録した短編集『偽りの春　神倉駅前交番　狩野雷太の推理』を2019年に刊行した。他の著書に『匿名交叉』（文庫化に際して『彼女は戻らない』に改題）『すみれ屋敷の罪人』がある。

「2021年 『朝と夕の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」