鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか (NHK出版新書) [Kindle]
- NHK出版 (2021年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (259ページ)
感想・レビュー・書評
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大河でこの時代に興味が湧き、著者の3作を読了。本著は三部作目に当たり、源氏、北条、伊東家の関係に最も力点を置いている。承久の乱や頼朝から実朝までにフォーカスを当てた前著と比べ、地味なイメージではあるが、三部作トータルで俯瞰した際の補填的役割として申し分ない。
大河の副読本として、また史実とドラマの差異の考察として一助となっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『承久の乱』『源氏将軍断絶』に続く一般書三部作の三作目、北条視点で描き、重複は必要最低限と配慮が好感触♪『曽我物語』等、残存資料が限定的なので推測・推論が多め、歴史ミステリー的なノリがあることは否めません。『吾妻鏡』の得宗家偏重を正すと頼朝の代はそれほど活躍しておらず、頼家の代から勢力拡大、宿老が減ずるに従い台頭します。比企の圧迫から起死回生の反逆が功を奏し、実朝の代で執権別当として成り上がります。世代交代で義時が執権となり、承久の乱で朝敵とされるも姉弟で克服し、泰時の代で安定政権を確立した(2021年)
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「鎌倉殿の13人」の副読本。人物関係がゴチャゴチャになった時参考になる。リンク付きの索引があるともっと便利だったかな。
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時政・政子・義時を軸に幕府内の駆け引きや争いの一部始終や人間関係をまとめていて、中でも主に義時の視点で書かれています。
伊豆国内における北条氏の立ち位置や北条氏と伊東氏の関係まで掘り下げて興味深かったです。
実朝暗殺の考察は一理あるけど全面賛同ではないですね。 -
やや感情がほとばしる記述個所もあったが、概ね現在の解釈に沿った穏当な指摘が多く、安心して読めた。
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著者がNHKの大河ドラマの歴史監修もになっているからか、北条氏に対する批判的な記述が一切ない。時政が調子に乗りやすいから和田氏を一族もろとも滅ぼしたなんてサラッと描いている。これってとんでもない騙し討ちだったのに。頼朝の後胤も根こそぎ絶やしたりした事なども普通の事のよう。色々推測しているけれど、頼朝の死因についての考察はないし、政子や実朝の立ち位置ももっと知りたかった。自分が思い描いていた歴史観と異なり、興味深くはあった。まだ未読だが、3部作として別の視点から描いた他の2作に期待。