図解・天気予報入門 ゲリラ豪雨や巨大台風をどう予測するのか (ブルーバックス) [Kindle]

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  • 現在の天気予報の手法として活用されている数値予報の仕組みについて一般読者に向けて解説されている本。私自身が研究室在籍時にゲリラ豪雨の数値シミュレーションに関わっていたこともあり、ちょっとした懐かしさと、当時とは比較にならないほどゲリラ豪雨への関心が高まっている今、一般読者にどのように解説するのかという点に引かれて読んでみました。
    本書前半部分では気象をある程度理解するための気象関係の解説です。気柱の概念、大気の安定・不安定、エマグラム、温位、コリオリ力、気圧傾度力などの簡単な解説と、移動性高気圧、気圧配置などの気象用語の解説です。
    数値シミュレーションについての話題はようやく本書後半の5章から。移流とか、連続式とか数値シミュレーションで必須の概念をなんとか数式を最低限にして解説しようとする筆者の努力が伝わって来る部分です。

    「天気・気象に興味を持った一般読者向け」を狙った内容としては平易な解説を目指して頑張った内容だと思いますが、主眼とするのは天気予報に用いられる全球モデル(GSM)なので、本書のサブタイトル「ゲリラ豪雨をどう予測するのか」と言う領域にはほとんど触れられていません。そこには気象予報に用いられる全球モデルとゲリラ豪雨とのスケールの違いという問題があり、その問題の存在自体には触れられているものの、その点に拘って研究に携わった人間としては、ちょっと物足りない気もしました。
    しかし、今年のノーベル物理学賞を数値モデルに関わった真鍋先生が受賞されて、この分野への関心も高まるでしょうし、このような本を通じて若い人材が一層興味を持ってくれるきっかけになればと思います。

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著者プロフィール

1940年、滋賀県出身。理学博士(九州大学)
気象研究所主任研究官、気象庁予報課長、札幌管区気象台長などをつとめ、現在は、気象学の普及などを目的とする「気象コンパス」を主宰。
著書に『わかりやすい天気予報の知識と技術』(オーム社)、『図解・気象学入門』(共著、講談社ブルーバックス)、『気象庁物語』(中公新書)など。

「2019年 『天気予報はどのようにつくられるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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