ジュリアン・バトラーの真実の生涯 [Kindle]

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  • 河出書房新社
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感想・レビュー・書評

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  • これは何とも野心的な作品た。言うなれば「小説」の様式・形式の可能性にチャレンジする作りとなっており、それは多分にネタバレ的にもなるので触れないが、まあ、その「仕組み」が面白い。

    もちろん、内容も面白い。のっけから男性同士の濡れ場シーンが描かれ、度肝を抜かれる感があったが、書き手の評論家ジョージ・ジョンを通して、彼自身の人生と、良くも悪くも最大のパートナーであった作家ジュリアン・バトラーの生きざまが描かれる。加えて二人を取り巻く(実在の)人物、彼ら彼女らがまた一癖二癖以上ある、曲者ぞろい。そのそれぞれとのやり取り、関係の多様性が心地よい。

    また、作中に示される、この作品内の小説も、およそ骨組み・あらすじで示されるものだが、なかなか興をそそられるものが多かった。こうした複合的な構造を取りながら、思わず熱中して読ませられてしまうのは、作者の優れた力量にあると、素直に感じた。この人の他の作品もぜひ手にとってみたい。

  • スキャンダラスで露悪的なパロディに偽装した、生きることと書くことを主題とする骨太な小説で、まじナボコフ。
    しかも、何層にも重なった構成で仕掛け先行型の実験的なやつかと思わせておいて、しっかりとロマンチックな物語だし、何より登場人物がみんな魅力的で面白い。まじ天才。
    なんなんだこの人。まじですごいな。

  • 参考文献リストが(色んな意味で)すごい。それを言うなら本編も当然すごいですが…

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著者プロフィール

1980年生まれ。文芸評論家。『新潮』『文學界』『文藝』などに寄稿。著書に『「男の娘」たち』(河出書房新社、二〇一四)がある。現在、フィルムアート社のWebマガジン「かみのたね」で『日記百景』連載中。

「2019年 『吉田健一ふたたび』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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