反逆の神話〔新版〕 「反体制」はカネになる (ハヤカワ文庫NF) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 吉川博満さんの『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』で本書の著者、ジョセフ・ヒースの名前を知り、手に取った本。反逆的、とまでいえるかはわからないが、自分自身も消費主義的な生き方が好きではなく感じており、どちらかといえば反逆的消費をしていると思い、惹かれた。
    本書を読んで、反逆的なカルチャーは反逆的な人が多いから増えるわけではなく、人間は他者との差異を追求し続けるから増えていることが理解できた。差異への欲望に基づくニーズと資本主義の相性はすこぶるいい。すなわち、カウンターカルチャーは資本主義の敵どころか、強い味方のようだ。
    カウンターカルチャーが好きという意思表示をすることで、自分が反逆的であることを示すことはできない。他者との差異が好きであることを示しているだけだ。

  • 理解できなかった。
    主要な考え方を否定する考え方が出てきても、それが多数派になったら矛盾してくるということか。
    最終章の結論から、個人主義はぜいたく。
    世の中の仕組みは中央集権か市場に任せるか。独占が富を生む。

  • 刺激的なサブタイトルだが、いわゆるカウンターカルチャーのすべてを否定しようとしているわけでもない、と思った。ただ、ある種のカウンターカルチャー、例えばヒッピー的な反消費主義やスピリチュアルな傾向にはかなり辛辣だ。ただ、それは、現在のある程度カウンターカルチャーにもシンパシーを感じる人にも一定共有できる感覚ではないか。そういう意味では、本書をもってリベラル叩きに勤しむ人のスタンスもまたちょっと違うのかな、とは思う。
    そういったいかにもいまのネット社会らしい党派性をはぎとってみれば、本書は興味深い視点をいくつも提供してくれる。例えば、市場の失敗をもって市場そのものを否定するのは間違い。悪いルールをもってルールそのものを否定するのも間違い、というのは当たり前だが見落としがちなことだと思う。カウンターカルチャー的にはメディア的な洗脳の結果ととらえられやすい消費主義であるが、実際にはカウンターカルチャーこそがそれを先導している、なぜなら消費主義とは差異を求める心情にドライブされている、軍拡構造を類似の構造によるからだという。まるで「赤の女王」の性的淘汰の議論のようだ。

  • ヒッピーの文化はちょっと世代がちがうんだけど、大企業であったり、資本主義というものに反発を感じて背を向けようという動きというのは、理解できないわけじゃない。本書で訴えているのは、資本主義に背を向けるというその行動が、結局のところ新たな金儲けを生んでいるんです、ということなんだろうなぁ。

     もちろんけっこうな大著。それだけで終わる話ではない。大きな社会の中で、自分の頭で考えて生きて行こうと思っても、気がつくと、ただ別の動きに乗っかっているだけってことはよくあるから、きをつけようね、みたいなことはある程度読み取れたんじゃないかと思うんだけど。咀嚼するのに、もう少し読み返さないと難しいな。

  • 15年ぐらい前の本が2021年に新版として翻訳されたもの。
    大雑把にいうと1950-60年代に米国で起こった「カウンターカルチャー」運動が現在にいたるまでいかに無意味であったか、ということを具体的な例証で語る一冊。著者たちはその世代のインテリとして自分たちもその一部だったのでなおさら切れ味鋭い。
    日本は「カウンターカルチャー」をロックやファッションなどの表面的な部分でしか受容していなかったような気もする。ただ、最近「世田谷左翼」とか揶揄される「エコでロハス」な「文化人」みたいなのはこの辺にルーツがあるのだろう。
    名前しか聞いたことがないそっち系の社会学者の論説の要約がいちいちついていてわかりやすい。1970年の「緑色革命」(リチャード・ライク)だけは中学生の時に読んで感心したものですが。
    最後の章あたりで環境運動とこのカウンターカルチャー思想の関係がでてきますが、これを読むとグレタ・トゥーンべリとか欧州で美術館でペンキ投げる環境保護運動過激派がなぜあのような行動をするのかがわかった。

  • 【オンライン読書会開催!】
    読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です

    ■2022年3月13日(日)17:30 〜 19:15
    https://nekomachi-club.com/events/534da7720f10
    ■2022年3月25日(金)20:30 〜 22:15
    https://nekomachi-club.com/events/0d65fe5f5a18

  • 左翼が文化中心主義に陥って、ただただ反資本主義・反体制ならば、なんでも良いという感じで結びついていった過程が分かります。そして、意識の変革に傾斜し続けたことが、孕む問題も理解できます。
    映画関連や大学の文系がその牙城になってるのも、この本を読むとよくわかります。

  • 気になって公開された序文を読んだ。
    本当にわかるまでには時間がかかりそうだ。ただ消費文化に立ち向かう行為事態の難しさを感じる。

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著者プロフィール

1967年カナダ生まれ。トロント大学教授(哲学・公共政策・ガバナンス)。著書に『ルールに従う』、『資本主義が嫌いな人のための経済学』などが、共著書に『反逆の神話』(すべてNTT出版)などがある。

「2014年 『啓蒙思想2.0 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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