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感想・レビュー・書評
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ある日突然隣国沈寧に、大切な人も国も何もかも奪われてしまった、弓可留国の歴史学者慈空。奪われた弓可留の宝珠『羅の文書』を取り戻す為に、沈寧国を目指す事になるが……。
この物語の世界には、混ざり者や杜人といった嫌われ者が存在する。慈空も初めは偏見があり、一歩引いた態度をとっていたが、関わっていく中で彼らが自分たちと何も変わらない事に気付いていく。知らないから怖い。慈空が国外に出た事で様々な人たちに出会い、色々な事を知り、成長していく姿が読んでいて楽しかった。続編が出たらまた読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(2022/172)古事記にインスパイアされたという異世界ファンタジー。友好国であると思っていた隣国に攻め入られて滅びた弓可瑠から奪われた宝珠に纏わる真実が話の軸に。人物とか国の名前がいちいち読み難くて難儀したけれど、話の流れ自体は勧善懲悪系の王道で、読んでいて安心感がある。シリーズ物になるのかな?中華ファンタジーとか、著者の『神様の御用人』シリーズとか読んでる妻が好きそうだと思ったのだけれど、最近ファンタジーから遠ざかっているようだし、妻が読まないなら買い続けるかどうかは微妙だな。
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味気ないタイトルがもう少しどうにかならなかったのだろうかという気持ちはあるが…読んでみるとなるほど、確かにこれは王とはどうあるべきか、神とはどうあるべきか、という問いについての物語であって、キャッチーなタイトルをつける以上に、おそらくはどうしてもこの二語を題に入れたかったのだろうなと思った。
四進を信仰する祖国が隣国に滅ぼされたことをきっかけに、兄弟分にして親友でもあった王太子から託された宝『弓の心臓』を守り読み解くため、学者だった主人公が、帝国から派遣されたという剣士や、差別的扱いを受ける杜人と呼ばれる人々、行商集団の頭領らと出会い、もう一つの宝『羅の文書』奪還のため敵国へ向かうーーという話。
神話ファンタジーとしては非常によくある話、最後のサプライズもよくある構成、主人公はあまりパッとしない、特に胸に刺さるドラマもなく、ふーんという感じで読み終えてしまったので続編はもういいかなという感じだが、
文章は非常に整っていて読みやすく、また宗教が人を戦や略奪に駆り立てることに対する強い怒りをもって書かれていると感じた。
「敵討ちなら好きにやればいい。国盗りなら自由にやれ。だがそこに神を持ち込むな。神の名のもとに正義を振りかざすな」
世界に溢れる宗教を笠にきた諍いへのアンチテーゼとして書かれたものなのだろうか。