味気ないタイトルがもう少しどうにかならなかったのだろうかという気持ちはあるが…読んでみるとなるほど、確かにこれは王とはどうあるべきか、神とはどうあるべきか、という問いについての物語であって、キャッチーなタイトルをつける以上に、おそらくはどうしてもこの二語を題に入れたかったのだろうなと思った。
四進を信仰する祖国が隣国に滅ぼされたことをきっかけに、兄弟分にして親友でもあった王太子から託された宝『弓の心臓』を守り読み解くため、学者だった主人公が、帝国から派遣されたという剣士や、差別的扱いを受ける杜人と呼ばれる人々、行商集団の頭領らと出会い、もう一つの宝『羅の文書』奪還のため敵国へ向かうーーという話。
神話ファンタジーとしては非常によくある話、最後のサプライズもよくある構成、主人公はあまりパッとしない、特に胸に刺さるドラマもなく、ふーんという感じで読み終えてしまったので続編はもういいかなという感じだが、
文章は非常に整っていて読みやすく、また宗教が人を戦や略奪に駆り立てることに対する強い怒りをもって書かれていると感じた。
「敵討ちなら好きにやればいい。国盗りなら自由にやれ。だがそこに神を持ち込むな。神の名のもとに正義を振りかざすな」
世界に溢れる宗教を笠にきた諍いへのアンチテーゼとして書かれたものなのだろうか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年3月5日
- 読了日 : 2022年3月5日
- 本棚登録日 : 2022年3月5日
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