GAFA next stage ガーファ ネクストステージ―四騎士+Xの次なる支配戦略 [Kindle]
- 東洋経済新報社 (2021年12月3日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (336ページ)
感想・レビュー・書評
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資本主義と民主主義の組み合わせ以外無いのか。人類は未だにこれらに変わる最良の方式を編み出せていない。
コロナ禍の時に政府が拠出した財源が、本当に必要な人々に届かなかったという話は結構有名だ。
飲食などの個人事業主の方々や、いわゆる貧困層の方々への支援には回らなかったというのだ。
この状況がアメリカという国家の歪みを端的に示していると思う。
(実際日本政府の対応も、褒められたものではなかったはずだが)
資本主義は資本を持つ者が永遠に富んでいく訳であるが、逆に言えば持たざる者は永遠に豊かな暮らしが望めないという事になる。
富める者である富裕層の税率が低いのは、ある意味で矛盾を感じてしまうが、イノベーションを推奨する国家の姿勢が表れていると言えば、物事の見え方が変わってくる。
確かに税率は低くても、稼いでいる金額が桁違いなのだから、結果的に税金を納めているのは富裕層なのかもしれない。
それでも、人数で言えば富裕層は超少数派。
圧倒的に多数なのは、中流以下の人々なのだ。(当たり前だ)
その中流の人々は、ただでさえ低い年収であるのに、税率は高めとなっており、多くの税金を結果的にアメリカ国家に納めることになってしまっている。
一方で、政府財源の使い道を決めているのは、実はこの超少数派の富裕層の意見が大きく影響しているという捻じれが生じているのだ。
コロナ禍になって、巨大テック企業のGAFAは業績が絶好調だったようだ。
これら企業は、稼いだ金を貧困層に再分配する気など、さらさらない。
本来、貧困層への再分配は政府の仕事であるとも言える。
しかしその財源があるのか?
GAFAは上手に租税回避している訳だから、稼いだ利益が国家の財源に納付される額が少ないとも言える。
実際、政治家はGAFA含めた富裕層に丸め込まれている。
政治家は選挙で勝たなければ意味がない。
その選挙資金を援助しているのは富裕層だ。
(そういう意味では富裕層も税を負担しているようなものだが)
政策も貧困層を救うことより、富裕層向けの方がどうしても多くなる。
こういう状況は本当に解決策がないのだろうかと感じてしまう。
本書内では大学に関する格差についても触れていた。
学業にこそ、経済格差があってはならないのではないか。
しかし、ここでも大きな格差があるというのが現実である。
本当に由々しき事態だと思う。
貧困層でも一発逆転するチャンスがあるから、学業というものに意味があるのではないだろうか。
しかしながら、現実は大きく異なっている。
本書の事例で「ディズニーランド」についての記載があったが、非常に上手い例えだ。
ディズニーランドは現在でも入場料が高騰化している。
それでも一度入場すれば、富裕層も貧困層も、白人もアジア人も黒人も、男性も女性も確かに楽しんでいる。
しかしながらそれは表面上だけに過ぎない。
貧困層は炎天下の中でアトラクションの順番待ちのために2時間並ぶ。
小金持ちは追加費用を支払ってファストパスを購入し、列に並ばずに優先的にアトラクションに乗ることができる。
富裕層は大金を支払って、スタッフ用の特別な裏口から入れてもらい、アトラクションに最優先で乗る。
超大金持ちはディズニーランドをそのまま貸切って、家族や身内を乗り放題にする。
これは今現在でも普通にディズニーランドで行われていることだ。
この状況を否定する人はいないだろう。
ディズニーランドも商売だ。資本主義の原則に則れば、これは間違った事とは言えない。
しかしながら「ディズニーランド」を「大学」に置き換えた場合も同じことが言えるだろうか。
この言葉には軽く衝撃を受けた。
今現在の大学は、完全に資本主義の理屈で動いている。
大学は紛れもなくビジネスなのだ。
ディズニーランドと全く同じことが大学入試で行われている。
勉強が出来れば、誰でもその大学に入学できるという事は決してない。
現実的に金がなければ大学には入れないのだ。
著者はこのように指摘している。
「大学の学費はこの過去50年間で15〜16倍にも高騰した。しかしながら、与えているサービス(いわゆる授業)内容は、50年間ほとんど同じだ」と。
これも自分自身、疑問にすら思わなかった。
それだけ教育に対してのバイアスがかかっていたということだ。
「当たり前を疑う」ということをすれば、自ずと疑問を持てたはずなのに。
50年前から、教授が教室で説明し、板書して、生徒はノートに書き写す。
病院ですら、この50年間で大きく進化したにもかかわらず、大学の教育現場では全くと言ってよいほどイノベーションが起きていなかった。
そしてそのことに疑問すら持たれなかった。(薄々感づいていても、言い出せなかった)
これがコロナによって、一気に可視化されたことは本当に画期的だと思う。
今までの潜在的課題が白日の下に晒された大学は、今後どうするのか?
間違いなく、これからは淘汰が進むだろう。
大学は「定員」があったからこそ、人々にとってプレミアムな価値を与えていた。
実際に大学で講義を受けようと思えば、教室の座席には限りがあった訳だ。
しかしながら、授業が全てオンライン化すれば、定員や少なくとも座席の縛りは無くなる。
こうなると必然的に強い大学こそ勝ち残るはずだ。
一流大学が、数百万円支払ってくれる学生を定員の縛りなく入学させることが出来れば、二流の大学、二流の授業は間違いなく淘汰されていくだろう。
つまりコロナ禍によって、大学の価値は完全に露呈されてしまった。
リアルの授業にこそ価値があると教授側は言うかもしれないが、それこそ顧客視点に欠ける傲慢さとしか言いようがない。
この辺はコロナによって、間違いなく改革を余儀なくされるだろう。
一流の有名授業を動画で無制限に受講できる一方で、二流大学の対面授業の価値は何なのか?
更に言うと、こんな中で先のディズニーランドのような収入格差がまかり通っている社会で、この状況は今後どうなっていくのか?
基本主義である以上、格差は広がっていくはずであるが、本当にこれをこのまま見過ごしていくのだろうか。
日本はどうなるのか?これだけ少子高齢化と人口減が進む中で、日本でも格差が広がっていくのだろうか?
すでに日本は、アメリカ・中国に相当差をつけられている。
日本という国家が世界的な貧困層に滑り落ちてしまうのかもしれない。
強者が必ず勝ち続ける資本主義という仕組みが、本当に人々を幸せにしているのか?
もう少し自分自身でこの状況を俯瞰して考えてみたいと思った。
(2023/3/31) -
ただただ愚痴を書き殴った色合いの強い書籍。タイトルと異なり、内容とGAFAとの関連性は低く、有意義な読書時間とはならないのは間違いない。
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興味ある内容もあるが、全体的にボリュームが大きく長い。
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GAFAの話というよりは米国が現在抱えている危機に関する内容だった。他人に非寛容な日本にも当てはまる話かもしれない。
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目的:ビジネスで成功するには世界の流れに乗ることが大切。それを知るため
仮説:いろいろなサービスが連結しだすとか?
要約:
ビックテックはこれからも大きくなる。
それはフライホイールという目玉商品・サービスをつくり、それをもとに集客をし、利益を上げる。
継続的な収入を生むセット商品(=ランドル)が大切になる。
大変革が起こるのは、以下の3つの特徴をもった業界。
・インフレよりも早く価格が上昇する
・サービスは向上していない
・本質的でない機能が追加される
こういった業界にビックテックは進出していく
搾取する経済はパンデミックでも強かった
ただ搾取される人は能力が足りなかった訳ではないが、アメリカンドリームを掴むことは今のアメリカでは難しい。それは搾取するビジネスが盛んになってしまったから。逆に搾取する側が、これは自分の能力だと過信してはならないと著者は述べている。
これからは個人情報を乱用し稼ぐ「赤」の企業と、個人情報を保護する「青」の企業に分かれる。
Act:ビックテックに飲み込まれないように気をつけて生活する。具体的には、SNSを使いすぎない、動画配信サービスを使いすぎない、本を読むことや運動することを大切にする -
標題やネット上での評判に反して、少々物足りない内容だったかな。
特に5章は、急ぎ書き上げたという印象...
もう少し、深く掘り下げ今のGAFA+Xの分析とどのような役割を果たすのか、社会にどう弊害をもたらすのかなどをネットに転がっているような平凡な分析ではなく書いてほしかった。 -
本書「GAFA Next Stage 四騎士+Xの次なる支配戦略」はGAFAについての本というより、これから多くの企業が選択を迫られる「青」「赤」のビジネスモデルについて理解が深まる本でした。
https://introbooks.info/business/gafax_nextstage/ -
刺さらなかった。
日本よりもエグい社会だと言うことは追認できた。
解体が実現しそうになったら読み返してみよう。