残月記 [Kindle]

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 295
感想 : 40
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感想・レビュー・書評

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  • audible 。SFをあまり読まないが劉慈欣の短編がとても面白かったので手を広げてみた。メインの「残月記」は上手いと思うが、近未来の暗い世の中には辟易する。国民が油断してたらこんな独裁国家になってしまうんだろうな。

  •  ファンタジーというよりは、新感覚のSF小説という印象のお話でした。

     この本は3編の短編小説で構成されていて、どれも話につながりはないのでどこから読んでもいいもののようでしたが、SFやファンタジーだとは意識せずに読み始めたため、1つ目の話で度肝を抜かれてしまいました。
     今回、この本を手に取ったのは完全に装丁買いです。
     作者の方の他の作品を読んだこともなく、作風も知らず、試し読みもせず、ただ『月』の話なのだろうかとうきうきしながらページを開いたものでした。
     衝撃度が高かったため、1つ目の『月がふりかえる』の印象が一番強いです。

     2つ目、3つ目とそれぞれ違う雰囲気の話が続きますが、『月』への見方が変わってしまいそうな、ぞわっとする感覚を味わえる話でした。

  • 2023.10.家族でレストランに来ている時に自分でない自分がいて自分になり変わって疎外され月に行く話し.叔母から月景石をもらい,月の世界へ迷い込み大月桂樹に取り込まれる話.月昂に感染し剣闘士となり一人の女性のために木像を彫り続けるという話の月に関わる3つの作品.表現がグロテスクで,主人公だけに係の人が殺害用の首輪を付け忘れるなどが設定も゙酷く面白くも何ともなかった.

  • この作品をひと言で表すなら、圧倒的現実感を持つファンタジー小説、だろうか。
    ここまでリアリティのある別世界を描きだした作品にはお目にかかったことはなく、作者の筆力に圧倒された。

    最後の一行が切なすぎて…。
    心がギュと絞られ、文字が霞んでしまった。

    ひとつだけ、最初の一作がまだ続きがあるような終わり方だったので、勝手に3つの作品は連作で、最後に全ての謎が解けるに違いない、と思い込んで読んでいたことだけが悔やまれる。

    もしこれから読む人がいたら、一つ一つ独立した3つのストーリーでできた一冊だということをお伝えしたい。

  • 『禍』が話題になっていて、その著者の小田雅久仁氏の作品が気になり今回読んでみたのだが、いやいや大変に面白い。小田雅久仁氏という作家がいたことを今まで知らなかったことは不幸なことだったとつくづく思う。人生損した。
    残月記には3編の小説が収められている。タイトルの通りにどの作品にも「月」が大きなモチーフとなっていて、魅惑的でもあり恐ろしくもあり、幻惑的な月が作品を盛り上げる。この小説を読んだ後、たまたま見上げた夜空には満月があって、とっさに作中の月昴という感染症のことが頭をよぎり、思わず視線を逸らしてしまった。
    ここに収められている3つの作品の中に共通しているテーマは、「もう一つの現実」ということだろう。最初の作品は月を介して突然、違う現実に変えられてしまう男の物語。私はこれが一番恐ろしく不気味に感じた。2作目は二つの現実が平行して存在している世界を、3作目は辛く厳しい現実を慰撫してくれる世界が書かれている。昨今の軽くて薄い文体を私は好まない。その点、小田雅久仁氏の文章は良い。1ページ1ページにみっしりと文字が書き込まれ、密度が濃くていいのだ。

  • 3つの短編。どれも想像を絶する出来事だったけど、オモシロイ。

  • 合わなかった

  • 本屋大賞やTwitter文学賞にノミネートされた中短編集。収録された3作は、いずれも「月」をテーマにしている。最新作『禍』が非常に面白かったので読んでみました。
    豊富な語彙を用い、ページを埋め尽くすように語られる物語はどれも幻想的で惹きつけられます。「月」という共通点以外は話につながりはなく、ジャンルも微妙に異なっているので好きな作品が見つかるかと。
    個人的なお気に入り作品は「そして月がふりかえる」。月が裏返ることでよく似ているが全く別の世界に迷い込んでしまったある男の物語。いままで当たり前に過ごしていた人生が突然手から離れ、異なる人生を歩まざるを得なくなったとき人は何を思うのか。「幸福」というものがどれだけ身近にあり、人それぞれがどのようにそれを享受しているのか、男の慟哭からはそんなことをひしひしと感じさせる。ただし、終わり方は「俺たちの戦いはこれからだ!」的な雰囲気を出しており、かなり好みが分かれそう。私はずっこけました笑。
    「月景石」はファンタジックな世界観が強く、作者の作品群においては珍しい部類の作品。日常から非日常への接続と、そこから戻れなくなってゆく過程はじわじわとした恐怖感があります。
    表題作「残月記」は近未来の日本を舞台にしたディストピア小説であり、アクション要素あり、恋愛要素もあり、政治闘争ありとなかなか盛りだくさんな中編。タイトルからわかるとおり『山月記』が元ネタのひとつであり、人とは違う才能(=病気)を持つものたちが差別的な待遇を受ける状況を描いている。「SF」というよりも「純愛小説」という側面が強く、ラストは胸を打たれた。ただし、200ページもかけている割には展開が少なく、大体予想通りに話が進むので途中で少々だれました。一人の人間の生涯を書き切るにはこのボリュームが必要だったのかもしれませんが……。とはいえ内容的にコロナ禍の2020年代を象徴するようなお話でもあるので一読の価値ありです。

  • 私には合わなかった。
    ファンタジーと知らずに触れたので、
    内容に驚いた。

    一つ目の話がかなり印象的でした。

  • 「残月記」(小田雅久仁)を読んだ。
小田雅久仁さんの作品を読むのは初めてだな。
以下の三遍が収録されていますが、
「そして月がふりかえる」
「月景石」
「残月記」
表題作でもある「残月記」が秀逸でした。
これほどまでに『月に憑かれた』作品ばかり読んでいると、濡れ濡れとした満月に見つめられているような気がして思わず夜空を見上げてしまう。(笑)
あー面白かった。

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著者プロフィール

1974年生まれ、宮城県出身。小説家、ファンタジー作家。関西大学法学部政治学科卒業。2009年『増大派に告ぐ』で、第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビューした。2013年『本にだって雄と雌があります』で、第3回「Twitter文学賞国内部門」の第1位を獲得した。

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