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感想・レビュー・書評
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現職大統領が大統領選での不正を唱え続ける中で発生した、連邦議会議事堂への襲撃。この前代未聞の事件の背景にあるものとは何か。混乱の続くアメリカ政治の実情を描き出す書籍。
2021年1月6日に起きた、アメリカ連邦議会議事堂への襲撃事件。国内外の人々に衝撃を与えたこの事件は、同国が国際的なリスクが極めて高い時代に突入したことを意味する。
1つの突発的事件や誤解が大惨事に拡大しかねない一触即発の状況が、国民には見えにくいところで急速に広がっていた。
マーク・ミリー統合参謀本部議長は、連邦議事堂襲撃事件は政府を転覆させる目的で立案され、実行されたとみている。
1933年、アドルフ・ヒトラーは市街のテロ活動と国会議事堂放火事件を利用して、ナチ党とともに全権を掌握した。「選挙はバイデンが勝つように仕組まれていた」と公言するトランプは、ヒトラーと同様の結末を狙っていたかもしれない。
トランプは衝動的で、行動が予測できない。独断で軍事行動や核兵器使用を命じる可能性もある。
それを危惧したミリーは、国家軍事指揮センターの幹部将校を集め、大統領から核兵器使用等を求める命令を受けた時は、統合参謀本部議長である自身にも伝達するという“手順”を踏むよう厳命した。
バイデン大統領は就任早々、アフガニスタンからの米軍撤退の検討を始めた。
戦争は今や、アフガニスタン政府とタリバンの戦いである。任務が本来の意図からずれており、米軍は外国の内戦に関わるべきではない、というのが彼の主張だ。
米軍撤退後の筋書きも含めて検討した結果、2021年9月11日までにアフガニスタンから全面撤退させる決定がなされた。だがこの決定を誤りだとする声は大きく、バイデンに対する批判は高まった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022年3月号
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トランプ政権末期の連邦議事堂襲撃事件の背景がよくわかった。バイデン政権移行後の景気刺激対策法案の部分などは連邦議会の内実を詳しく描いているものの。面白いものではなかった。アフガニスタンからの撤退はオバマ大統領の自叙伝を読んでいたので民主党の考え方が理解できた。全体として読むのに骨が折れる著作。
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【トランプは彼らを見渡していった。「ああ、だがいま外にあるのは、たくさんの怒りだ」・・・(中略)・・・「どうすれば彼らが正しいことをやるように仕向けられるんだ?」彼はたずねた。誰もトランプを満足させる答えができなかった】(文中より引用)
米国史上でも類を見ないほどに荒れたトランプ大統領からバイデン大統領への政権移行。1月6日の議会襲撃事件をめぐる対応を軸としながら、その内実に迫った一冊です。著者は、『ワシントン・ポスト』でタッグを組むボブ・ウッドワードとロバート・コスタ。訳者は、ボブ・ウッドワードの作品の翻訳を多く手がける伏見威蕃。原題は『PERIL』。
本書の白眉は、マーク・ミリー統合参謀本部議長の行動と思考だなというのが読後の第一印象。米政治上の危機にあって、巌のごとき安定感を見せた米軍の裏にはこのような傑出した人物の働きがあったのだなと感じました。また、大統領と憲法の要請の間で揺れ悩むマイク・ペンス前副大統領の姿も、人間ドラマとして読み応えたっぷりでした。
ボブ・ウッドワードの作品はやっぱり読むと得られるところが大きいんですよね☆5つ