むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ウェルビーイングの解像度は上がったが、自分の組織に生かすのは、さてどうしたものか。推すということが幸せを感じ、宗教的という指摘もあながち間違いじゃないというのは腹落ちする。

  • 本書は、日本的なウェルビーイングについて、昔話や文化の点から考察している。 「ただ、いること」、ありのままの自分でいられること。いわゆる推し活動は、それを強烈に後押ししてくれるものである。なるほど。ライト宗教というのは、言い得て妙だ。

  • Kindle Unlimitedで。Podcastの内容をまとめたものらしい。ちなみにPodcastはオーディブルで聴ける。
    「ヒューマン”ビーイング(Being、ただそこにいる)”」とか、「病気を看て人を見ない」とか、「参勤交代や人事異動という強制移動がプラスに働いた」とか、ふと”なるほどな”と思わせる部分が時折やってくる。

  • 紙の書籍にて。
    ウェルビーイングという、新しくふわふわした概念のテーマを取り扱っているので仕方ないが、やはり腑に落ちた!腹落ちした!とはならなかった。

    タイトルのむかしむかしあるところに〜は、日本昔ばなしには「成長」せずに「ゼロにもどる」というオチの話が多い、ということから、日本には元来「上へ上へ」という成長欲求よりも「奥へ奥へ」という深みを求める気質が強いのでは、という解釈。
    おもしろいけれど、ちょっとこじつけ感もあり。笑

    Be=ただ「いる」というだけの素の自分でいる瞬間を大切に、ということのよう。
    そのために「推しを作る」という方法を提案しているのが面白かった。

  • 最新のウェルビーイング研究に関する知見をシンプルな言葉でまとめると、次の2要素が「効く」ことがわかっています。 ●選択肢がある ●自己決定できる  つまり、「どう生きるかの選択肢があり、その中から自己決定できる」 ということが、ウェルビーイングに生きるポイントになり
    【まとめ】 老人が多く登場する日本の昔話は、世界的に見てもかなり特殊な部類に入る。背景には、「ゼロに戻る」ことを好んできた日本人の心性があり、それこそが日本的ウェルビーイングの原型かもしれ
    【まとめ】 日本の文化にはNobodyとNegativeを愛でるという特徴がある。存在しないものを讃え、否定を受容する歴史を積み重ねてきた精神性が、日本的なウェルビーイングにも繫がっている
    【まとめ】 日本人の自己肯定感は否定を否定して、ようやく生まれる。「否定の応酬」こそが日本人の文化と精神性のOSになって
    【まとめ】 『古今和歌集』は日本文化の開幕宣言。日本人にとって七五調のリズムがベースになっている「うた」が本能的に好まれてき
    最近はSNSで複数のアカウントを使い分ける人は珍しくないですよね。「号」は今の時代で言うところの別アカ、「連」はオフ会やコミュニティのような感覚
    【まとめ】 江戸時代は「号」と「連」という複数の名前と居場所を持つことが普通だったが、今は公私で首尾一貫性が求められる時代になっている。そのプレッシャーから逃れるための方法を各人が模索して
    【まとめ】 西洋の「上」を目指す思考とは対照的に、日本の思想・文化は古来ずっと「奥」に重きを置いてきた。「もっと上へ」ではなく「さらに奥へ」の精神性が日本らしさで
    ●3人のうち1人はいなくてもいい 『古事記』の冒頭を見てみましょう。  まずは天と地が分かれてアメノミナカヌシという神が現れ、タカミムスヒ、カムムスヒと名乗る神々がそれに続きます。 「造化の三神」と総称されるこの神々の中で、アメノミナカヌシ(天御中主神)だけは最初に登場したきりでなぜか以降は二度と登場しません。あらゆる神々のトップバッターであり、名前からして最高神のような風格を備えているにもかかわらず、非常にマイナーな神なのです。 「三貴神」と呼ばれたアマテラス・ツクヨミ・スサノオのきょうだいでもそれに近い現象が見られます。アマテラスとスサノオの間では激しいドラマが展開していくのですが、ツクヨミだけほぼ何もしません。   つまり、「3人組のうち1人はただいるだけ」というパターン

    ●存在感がないことに存在意義がある  アメノミナカヌシやツクヨミのような神は、一見すると無為な存在にしか感じられません。しかし、見方を変えると「ただいるだけで価値がある存在」ともいえます。  集団の中に「からっぽ」の存在がいる。理由はわからないが、いるだけでなんらかの価値があるらしい。実はここが重要です。  心理学者の河合隼雄は、3人のうち1人がからっぽの存在感しかないこの状態を、「中空構造」という言葉で表しています。

    「大事なものは「奥」にある。  奥に何があるのかまではわからないが、目を凝らしてそれを探していく。  やや抽象的な言い回しになってしまいますが、こうした人生への姿勢こそが日本的なウェルビーイングの根底にあるのではないかと私は考えています。  否定に否定を重ねていく謙遜のプロトコル(儀式)も、もしかすると「奥」にある何かを探り当てようとする技法の一種かもしれません。」

    「大正から令和まで生き抜いた作家、瀬戸内寂聴さんが99歳でお亡くなりになりましたが、生前、説法ライブなるイベントに参加したことがあります。「毎日が楽しくない」という参加者の悩みに、「秘密を持ちなさい」と意外な回答をされていました。「秘密を持てば毎日おのずとワクワクする。私は誰にも秘密でケータイ小説を書いていたことがあります」と。波乱万丈な生涯を送った寂聴さんらしい人生の知恵ですよね。ちなみにペンネームは紫式部にちなんで「ぱーぷる」でした。」

    【まとめ】 「する」で評価される時代だからこそ、ただ「いる」ことの稀少性が増している。誰かを「推す」行為は、「一方的に愛させてくれる」信仰に近い感情である。」

    【まとめ】 SNSは「する」「なる」の投稿がメインになりやすいため、基本的にはウェルビーイングと相性があまりよくない。しかし、「いる」を意識した使い方をすることで、居心地のよい交流ができる場所にも変えられる。」

    「●誰もが「因果」という宗教にハマっている  私は仕事柄、「〇〇のためには何をしたらいいですか?」という質問を受ける機会が多くあります。幸せになるためには、夢を実現するためには、仕事でステップアップしていくためには、「何をしたらいいですか?」。皆さんまっすぐにそう問いかけてきます。逆にいうと「○○をしたら実現できるはずだ」という原因と結果、因果が成り立つことを疑いなく信じている。 「なるほど、理屈はわかりました。じゃあ自分は何をすればいいですか?」  そうした思考回路で物事を進めるクセがついている人は、因果関係という宗教にどっぷりとハマっている状態にあります。人生を因果で見る発想が染み付いてしまっている。  そうした思想を否定するわけではありません。ビジネスシーンで最近よく使われる「何のためにこの会社があるのか」を意味するパーパス(存在意義)なども、因果を追求して生まれたキーワードといえるでしょう。 ●ウェルビーイングは因果よりも因縁」

    「【まとめ】 時間や空間を超えて、「いる」だけの素の自分になれる瞬間を大切にしよう。その積み重ねによって、あなただけの善く(ウェル)いる(ビーイング)時間が必ず見つかるはず。」

  • この本では、ウェルビーイング、幸せに生きるためにはどうしたら良いかについて、日本文化から探っています。国によって歴史も考え方も違うし、人によって考えかたも感じ方も違う。

    過ごしやすい社会のことを考えつつ、そのままの自分を大切にしていこうと思いました。

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著者プロフィール

予防医学研究者、医学博士。1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念進化論など。近著は、『フルライフ』(NewsPicks Publishing)、『考え続ける力』(ちくま新書)など。

「2022年 『むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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