- Amazon.co.jp ・電子書籍 (293ページ)
感想・レビュー・書評
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葉真中さんの作品も中断出来ずに読み進めてしまう面白さがある反面、こんなに早く読み終えたくないのに…というジレンマがある。ゆっくりと早く読みたいのだ。
結局どんなスピードでも、面白いのだが。
どうしても私の中の葉真中さんのイメージ、「絶叫」や「Blue」のような展開を期待してしまうけれど、今作は感じる温度が違くて、でも最後にその感触はやってきた気がする。
この物語は、作品の言葉を借りれば『わたしの物語』でもあった。そう感じる人は多いのではないだろうか。
女性なら特に理解できる描写も多かったかも。
誰でも感じてしまう、誰にでもある感情をひとつひとつ丁寧に登場人物にのせている。
登場人物全てに共感してしまう。良い感情も悪い感情も。
物語の中にある小説ともあわせながら。
この小説がまた面白くて、冒頭の『犬を飼う』にはやられた。こういう発想っていつ思いつくのかな。
死ぬか殺すかの選択はなかなかハードだけれど、毎日選択の連続で、自分にも違う人生があったのかなんて皆んな思うだろう。(ドラマの選タクシーみたい笑)
正解なんてわからないし、後悔することも沢山ある。
仕事も家事も趣味も全て含めて自分が選んだ生き方だけど、誰かが見てて、認めてくれたらやっぱり嬉しい。
私は認めたり褒めたりしてるだろうか。
そのひと言で選択肢を良い方へ変えて貰えてたら、やっぱり嬉しい。
今の世の中、私が考える世の中と逆行していて哀しいのだけれどね…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「犬を飼う」のインパクト。中年女性たちの閉塞的な状況が描かれつつ、爽やかなラストがよかった。解像度の高い女女感情。シスターフッド。女子校時代の親友、嫉妬、選択、寿司。
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編集者・梨帆の元に、以前新人賞で落選した多恵から原稿が送られてきた。学生時代の友人が時を経て再会するところから物語は始まるが、登場人物の苦境に思いを馳せるうち梨帆は…。
劇中劇のような仕組みの作品。これまで私が読んだ葉真中顕の作品は骨太のモノが多かったのに、女性の生き辛さ、閉塞感を描いていることはわかるものの、本作はどうにも性に合わなかった。
(Ⅽ)