アルツ村 [Kindle]

著者 :
  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 日本の高齢化社会に向けて、とても考えさせられる問題だった。ヤングケアラーだったり、老老介護だったり、どこにでもある(自分にも降りかかる)問題だと思う。
    南さんの書は初めてでしたが、とても読みやすく面白かった。

  • 明日香が夫の暴力から逃れてたどり着いたのは北海道の原野の中で所在地非公開のシルバーアーツ福祉村。そこは自立型住宅、生活ケア付きの高齢者コミュニティ。しかし、隠された実態があった。家族から見放された認知症患者が姥捨山の如く集められ、脳バンクを構築する施設だった。長寿国日本が抱えた介護の問題、老老介護、ヤングケアラーなど悲しい現実を思い知る。身体が動かず意識もない状態での長寿なんて意味がないなと、我が身のことを考えさせられた。明日香はレビー小体型認知症で娘リサの幻視、ミステリー的ではあるが必要だったのか?

  • 認知症の人ばかりが暮らす村。こういう場所あってもいいと思うね。介護で自殺する人が出るよりは、一か所に集めて自由に生活させるほうがいい。
    主人公がアルツハイマーなのは途中で気づいてしまった。

  • 「認知症」…。介護職に就いてもうすぐ2年になるが、いまだによく理解できていない。でも、重度の「認知症」の方の介護がどれだけ大変なのかはとても良く知っている。介護の仕事、というとえらいねーと言われることがあるけれど、本当に大変なのは家で介護しているご家族だといつも思う。私達には休みがあるし、時間になれば自分の生活に戻れるけれど、ご家族は24時間365日向き合わなければならない。その大変さを考えると言葉では尽くせない。この「アルツ村」は今の日本が抱えている問題をいくつも投げかけていて、今の私にできることは何かを深く考えさせられた。

  • どんでん返しだけど無茶がないのは認知症と介護者をめぐる問題が現実的だからかと思う
    「なっちゃん」のふりをする明日香の誠実さに救われるが、
    いつまでも車椅子のままの娘リサに?と思ってたらやはり
    認知症には歳をとれば誰でもなる 本人にとっても介護者にとっても苦しくやるせない

    ただ都会ではなく田舎なら認知症の人びとは暮らしてゆきやすいというのは違うだろう

  •  何でしょう。この心の揺さぶられ方は。
     不思議な村での生活、センター潜入、そして衝撃的なラスト…。そこで繰り広げられる患者と家族の生き方と苦悩、何か正しくて、どうすべきだったのか、登場人物の心中さながら様々な思いが交錯し、心が揺さぶられました。特に最後で綴られる夫の言葉に…
     でもそれらの中で皆が願っているのはそこに差し込む光。救いの御手。その手は患者を連れていく手か、癒しの手か、患者を励ます手か。
     ブレインバンクの問題は、コロナワクチン問題を見ても日本の医療研究は本当に世界標準から明らかに遅れていると痛感。この本で指摘された課題、そこに光が当てられることを切に願います。
     取材日記が物語の合間に掲載され、別角度から認知症の現状や物語を見ることができ良かったです。
     何より、舞台となる北海道で大自然の美しさ、不思議な村の営みとドラマチックなセンター潜入劇など映画化の期待大!

  • 後半とんでもない話になるなと思ったら、違っていた。よく練られている。

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著者プロフィール

1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入。卒業後、慶応大学病院老年内科などで勤務したのち、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを務める。帰国後、都内の高齢者向け病院に内科医として勤務するかたわら『サイレント・ブレス』で作家デビュー。『いのちの停車場』は吉永小百合主演で映画化され話題となった。他の著書に『ヴァイタル・サイン』『ディア・ペイシェント』などがある。


「2022年 『アルツ村』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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