- Amazon.co.jp ・電子書籍 (197ページ)
感想・レビュー・書評
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『ロシア 語られない戦争』に続いて読んだ本。
同書で第二次チェチェン紛争時に自作自演テロを起こしたプーチンや、国内での数多の暗殺について触れられていたが、本書ではさらに体系的にプーチンの事績を追うことができた。
特に、プーチンが成り上がる経歴や、国内で独裁的な権力を手にするにあたっての過程、そして2010年以降の対外強硬姿勢と、おおむね3つのフェイズとしてプーチンやプーチンのロシアを理解できた。
プーチンの側近や、FSB, GRU等の組織構造、並びにその具体的な作戦行動を、具体的な事件霊を通して体系的に知れたのも面白かった。
独裁者と情報機関というものの一つのモデルケースとしてとても参考になった。
中国はまた全然違う体系なのだろうか。そちらも気になるところ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
過去記事の再録も含めて、プーチンが登場してきた経緯、登場してからの言動が時系列でよくわかります。
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プーチンが21世紀とは思えない身勝手な侵略戦争をはじめて100日あまり。プーチンが豹変したという声もあるが、黒井文太郎氏はプーチンは元からこういう人物で何も変わっていないという。
本書を読めばまさにそう。クリミア併合、シリア空爆、ウクライナ東部の内乱の画策なども十分きな臭いが、第二次チェチェン紛争のきっかけになったテロでさえプーチンがかかわった自作自演とされる。
気に入らない人物は次々と暗殺するなど、およそ現代に生きる政治指導者とは信じられない暴君である。
ネットの言論空間の工作やハッキングの手口なども書かれている。
日本の外務省が「2島返還もあり得る」と楽観的な見通しでプーチンと交渉し、結果まったく進展しないというのも率直に書かれている。ようやくこの件も目が覚めて、日本も西欧と足並みをそろえて制裁できるようになった。
おそらく東欧に平和が訪れるのはプーチンが政権を去った後、より確実にはこの世からいなくなった後だと思う。