- Amazon.co.jp ・電子書籍 (267ページ)
感想・レビュー・書評
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書いてあることが難しくてよくわからなかった。頭の良い人向け。
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たぶん事実に基づいた精緻な分析による結論だろうが、理屈や検証よりも思想を整理した雰囲気。エッセイ。
組織的なリータシップという、少し変化球な価値基準は、なるほど参考にしたい。 -
変革のためには、まず危機感の醸成を、というけれど、生存チャネルと繁栄チャネルという整理で、生存チャネルを脅かす危機感は逆効果になりかねず、チャンスに対する切迫感を醸成すべき、という部分になるほど、と思いました。
マネジメントとリーダーシップの両方が大切。でも、人は生存チャネルが強いので、繁栄チャネルを刺激するリーダーシップが必要なのね。 -
人間はそもそも非力な生物なのだから、安心安全を維持することが生存戦略上最も重要なことなのは確かだ。
その生物の本能を理解した上で、我々はどうするのかということだ。
本書を読んで自分でも気が付かなかったことであるが、現代型のピラミッド組織というのは、ほんの近現代に作られたものだということ。
これも改めて考えてみれば当然で、工業化近代化が図られたからこそ「組織」が機能し出したのだ。
それまで以前は人類の歴史でまともに「組織」と言えたのは「軍隊」ぐらいなものではなかったか。
一般的には軍人は少数派なのだから、ほとんどの人たちは「組織」という概念すら知らないままに日々の生活をしていたということになる。
そうなれば重要なのは当然身近な「家族」であって、決して「組織」ではない。
家族の中では序列があるかもしれないが「それは組織なのか」と問われると違和感を持ってしまう。
そう考えてみると、そもそも「組織」というものは、生物の生存の仕組みには馴染まないのかもしれない。
そんな中でどうやって我々は組織を維持し運営していくのか。
つまり「組織とは何か?」という本質を探求しなければいけないということなのだ。
これらが学術的に研究対象とされる意味も理解できる。
様々な論が展開されているが「理想的な組織形態」という正解は見つからないのではないだろうか。
正解があるならば、世界中の企業が上手くいっているはずだし、これだけ悩む必要もない。
「組織」という歴史の浅さの中で正解を見つけていくのは困難なのだということだ。
会社という組織の中でも、「人事」は特に課題が多い。
もちろん、日々現場で事件は起きていると思うが、それらとは違う種類の課題が起きているのだ。
本書内に様々な示唆があるが、「リストラの対応」についても非常に興味深い記述がある。
本能的に安定を求めるものだから、リストラされる側は当然に身構える。
勤務最後の日が訪れるまでは、前向きな気持ちで仕事に向かえる訳がない。
これが常識的な考え方だ。まさに「生存チャネル」が発動した結果、人々の行動は自己の生存を最優先させる選択を行っていく。
しかし本書では、こんな状況であっても「繁栄チャネル」を発動させられる組織が存在するという。
これが「イノベーションを起こせる組織」だというのだ。
この状況を作り上げるのは、当然簡単な話ではない。
ここでリーダーの資質が問われることになる。
最近は権限委譲や自律的組織について活発に議論されているが、そもそものきっかけは優れたリーダーがどう行動するかにかかってくる。
優れたリーダーはトップダウンでの指示は行わない。
問題点を連ねて恐怖を煽るよりも、情熱的にチャンスについて語るという。
前向きな気持ちを部下に見せ、対話を重ねてその情熱を伝播させるというのだ。
現場が主体的に動き出すまでは、何度も何度も丁寧に言葉を重ねることが大切なのだ。
そう考えると、リーダーの本質というのは、発する言葉次第なのだということだ。
綺麗事を並べても部下からは見透かされるだろう。
決して雄弁でなくても、朴訥としていても、気持ちのこもった言葉が大事なのだ。
「なぜ組織は変わらないのか?」から、
「なぜ変わる組織も存在するのか?」そして、
「どうすれば組織を変えられるのか?」ということか。
よく「ハートに火を点ける」と言われるが、他人の心に良い影響を与えられる人。
こういう人をリーダーに据え、情熱を伝播させる。
その熱を受け取った人が次のリーダーとなり、さらに伝播させていく。
これらの好循環を生み出せれば、きっとイノベーションを起こすことにつながって行くのだろう。
ギスギスした職場からイノベーションは生まれるはずがない。
頭では分かっていても、それを実現するのは本当に難しいということなのだ。
だからこそ、まずは熱の伝播から試してみたいと思う。
(2022/11/23)