此の世の果ての殺人 [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 第68回江戸川乱歩賞受賞作。自動車教習中の先生と生徒のごくありふれた会話から始まる隕石衝突による地球滅亡という状況下での連続殺人事件の謎を追うというストーリー。
    コロナ禍時代の影響もあるのか、軽い語り口で、「奥地自殺」「小惑星衝突に基づく難民」「人類皆ニート」「残留村」などのワードで極限状態を表現している。サバイバルドラマの要素もあり、ホラーテイストも有り、「この世に善人はいません。人間は皆一様に醜く、自分のことしか考えない」とうそぶく犯人に挑んでいく。
    前半部分、この特殊な設定と描かれている内容の描写と語り口がミスマッチで、やや冷めるところがあり残念だったが、著者が、23歳での最年少受賞者と知り納得。

  • まず始めに、ミステリ≒クローズド・サークルを求める人に、本作は面白いと感じないと思います。またディストピア、グロテスクな表現が苦手な方にもオススメ出来ません。

    そんな前置きの上で、今作は地球に隕石が落下することが世界的に公表された後の日本、福岡を中心に描かれている作品で、ある自動車学校に通う女性と、その子の指導教官である女性の二人による冒険譚とも言える内容です。

    ミステリというよりもサスペンスが当てはまりがよく、様々な殺人事件の繋がりを探しつつ、様々な人と出会いの中で、地球最後の日までに事件を解決する二人の活躍は、読んでいて良いバディだなと感じました。しかし最後の日までが描かれていない所は、少し残念だったかなと。

    何故か幼い頃に衝撃を受けた、山田孝之さんが出演していた『ドラゴンヘッド』の映画を思い出しました。

  • 未来に小惑星「テロス」が日本に衝突するという有り得ない設定に少し戸惑ったが、主人公の小春と教習所の教官のイサガワ先生とのコンビが面白い。他の登場人物もみんな魅力的。
    どんな展開になるのか読めないまま、ハラハラしながらあっという間に読めた。
    最後はジーンときた。

  • 冒頭から暗黒世界が広がっていて、どうしてこんな世界になったか?という設定が「小惑星が地球衝突する日が分かった」っていうSFチックなお先真っ暗で救いようがない物語。

    九州に小惑星が衝突する予定らしくて、みんな九州からの大脱出を図り、残った人達がライフラインが無い状態で「その日」を迎える。そんな中での連続大量殺人事件発生だ。

    終盤まで犯人が誰なのか分からず、主人公ハルちゃんのミスリードもあって読者は翻弄されるけれど、ハルちゃんの相棒イサガワ先生の活躍で推理も調査もアクションもモリモリで飽きずに楽しめる。

    しかし希望の無い、救いのない世界なので、犯人わかっても読後感はいいわけじゃない。

    江戸川乱歩賞受賞作品。

  • 3ヶ月後には隕石が降ってくる世界という特殊設定。
    どうせみんな死ぬのになんで殺人事件が起こるのか。

    この世界観にとても合う丁寧で癖のない書き方でするするっと最後まで一気に読める。
    ミステリとしても面白いんだけどむしろ世界観や登場人物がとても素敵!

    自分だったらこの世界でどうやって生きていくんだろうと想像しながら。

  • 『儚い世界終焉ミステリー』

    史上最年少24歳での江戸川乱歩賞を受賞した著者のデビュー作品。福岡出身らしく本作の舞台は福岡県一帯。物語の根底には常にこの世の終わりが付きまとい、全体的に救いようのない絶望感が漂う一冊です。

    まず状況設定がこの作品の特筆すべき見どころ。小惑星の衝突により地球滅亡が2か月後に迫った世界。落下予測地点は日本の熊本県で、日本の消滅は避けられない。国外へ逃げる人が大半で暴動が起こりライフラインは停止。福岡に留まる残留住民はわずか。そんな"此の世の果て"となった極限状態で殺人事件が起こるというシチュエーションです。

    人は最期に何を思うのか。快楽、償い、希望、清算、自動車教習…。それぞれの登場人物たちの思惑が交錯しながら、友情や家族愛を感じる青春要素もあり。人間の良心が試される世界終焉ミステリーでした。

  • お初の作家さん。史上最年少で江戸川乱歩賞を満場一致で受賞したそうです。
    小惑星テロスが地球の衝突しあと2ヶ月で地球が消滅するという日本。日本から脱出する人、あきらめて自死を選択する人、あちこちで起こる暴動の中、小さな夢をかなえるために車校に通うハル。そして教官のイサガワ先生。いつもの様に教習に出かけようとすると、教習者のトランクに女性の刺殺体が・・・

    地球が滅亡するという世の中で、殺人事件の捜査?どんな展開になるんだろうと、どんどん引き込まれて一気読み。イサガワ先生の歪んだ正義感に対して、もうこの世が終わるんだからと妥協せず、あくまで人としての生き方を選択するハルが愛おしかった。
    最後に夢がかなって良かったね。綺麗な星座を見れて良かった。地球が滅亡するというのに、読み終わったあと
    温かい涙がこみ上げてきました。

    追伸:犯人との格闘の時、自販機のシーンで通報してくれた30歳男性。自分も飲み物を確保するために自販機を壊してはいたけど、犯人の異様な雰囲気に警察に通報する・・・ここ好きだったな。人っていいなって思っちゃいました。

  • すごく読みたかった本
    特殊設定ですが、それに頼っているわけではなく、プロットで読ませている点がよかった。
    謎がきっかけはどうなんだろう
    クライマックスはもう少しどうにかなったのでは
    メルカトル方式で前日譚を読んでみたい

  • なんつうか、ものすごくシュールな舞台設定。
    隅々までよく作りこまれた作品だ。

    幕の閉じ方も絶妙なところ。

  • Audibleで。
    背景の理解に時間がかかったけれど、ストーリーほ面白かった。
    3時間後、どうなったのか、、、気になる。

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著者プロフィール

1998年福岡県生まれ。九州大学文学部卒。2022年第68回江戸川乱歩賞を本作で受賞しデビュー。

「2022年 『此の世の果ての殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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