アメリカとは何か 自画像と世界観をめぐる相剋 (岩波新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 日本の報道において、アメリカは世界の国々の中で最も数多く取り上げられている国だろう。それでもちょっと深いところは分からない。
    本書で、アメリカの政治的イデオロギーを整理する際によく使われているという「ノーラン・チャート」が紹介されている。「リベラル・保守・リバタリアン・権威主義」の4象限に分類し中央に「中道」が設けられている。
    なるほど、この図は分かりやすい。「リベラル」「保守」はそれぞれ「民主党」と「共和党」に分類されるのだろうが、その双方に「リバタリアン寄り」「権威主義寄り」が一定数いるというのだ。
    こんな政治的傾向は、日本の報道ではまず聞かない。実に興味深かった。
    しかし、この国はこの深い分断から脱出出来るのだろうかとの疑問を抱いた。振り回される国(日本も含めて)はたまったものではないとも思った。

  • アメリカがどういった国なのかを知りたくて読んだ本でしたが、あまりに考慮すべき属性が多すぎて逆に混乱しました。
    大きくは共和、民主支持層の対立と理解していましたが、どのような立場で支持しているのかについてはとても身近な問題に思えました。
    理想はわかるが目の前で困っている自国民を無視していいのか、という点については以前から疑問に思っており、こうした問題にどのように対応してるのかはさらに興味を持ちました。
    最後のトクヴィルの言葉、ソフトパワーを維持する重要性については、雑誌を読んでいてもよく強調される内容であったと記憶しており、今後ますます多様化するニーズの中でアメリカがこのまま周囲から見ていて倒錯しているように見えるまま進むのかは率直に興味を持ちました。

  • オーディブルで読了。
    現代アメリカ社会の状況を知りたい時におすすめの本。
    左右共に極端な主張が生き残り、中道や互いに歩み寄るという選択が出来なくなるほど分断が激しくなっている。
    よくあるトランプを悪い奴に仕立て上げる本ではなく、かなりバランスを取っている。
    分断においても、そもそもアメリカは昔から分断されていた国だという楽観的な展望も載せており、多方面なアメリカを描写していて好感が持てる。

  • アメリカ政治の専門家が、アメリカの政治史についてまとめたもの。題材が大きい割に新書版なので、政治的対立を文字で追っているだけになっている。教科書的であまり興味がわかなかった。

    「求心力より遠心力を求める米国。国民国家としての自己定義に苦慮する米国。国際社会におけるソフトパワーの低下が危惧される米国」xiii
    「13州がばらばらのままでは通商や軍事の面でイギリスやフランスなどヨーロッパ列強に対して不利になる。建国の指導者たちは古代ギリシアの民主制や古代ローマの共和制に学びながら、国家としてのスケールメリットは活かしつつ、中央の権力を憲法で厳しく制限する立憲民主制を具現化していった」p2
    「日本では「国立」大学が存在するが、米国では士官学校等など一部の特殊な大学を除き、「国立」の学校は存在しない」p3
    「ルーズベルトは(ニューディール政策などを通じて)「社会主義者」と糾弾された」p6
    「指標として個人の自由(社会的自由)と経済的自由を置き、それぞれを重視する度合いに応じて「リベラル(経済的自由軽視・個人的自由重視)」「保守(経済的自由を重視・個人的自由を軽視)」「リバタリアン(両方の自由を重視)」「権威主義(両方の自由を軽視)」の四象限に分類し、中央に「中道」を設けている」p25
    「伝統的に左派は平和団体や人権団体、環境保護団体、労働組合、消費者団体などとの関係が深く、自由貿易に対しては懐疑的だ」p30
    「(民主主義のジレンマ)権威主義に比べて政策が近視眼的になりがちで、意思決定も迅速さに欠ける。外交も国内世論に強く左右される。軍事・安全保障問題は機密性が高く、透明性や説明責任を重んじる民主主義とは相性が悪い」p123

  • 2022年11月号

  • あと1週間で中間選挙。そういえば最近「中道派」という言葉をあまり聞かなくなった。中露が極端に振れる中、中間選挙は共和党がやや優勢ということだが、米も極端に振れると一体どうなるのか。存在感は薄れるが日本は相対的にまとも。

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著者プロフィール

渡辺靖

慶應義塾大学SFC教授。1967年(昭和42年)、札幌市に生まれる。97年ハーバード大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。オクスフォード大学シニア・アソシエート、ケンブリッジ大学フェローなどを経て、99年より慶應義塾大学SFC助教授、2005年より現職。専攻、アメリカ研究、文化政策論。2004年度日本学士院学術奨励賞受賞。著書に『アフター・アメリカ』(サントリー学芸賞・アメリカ学会清水博賞受賞)、『アメリカン・コミュニティ』『アメリカン・センター』『アメリカン・デモクラシーの逆説』『文化と外交』『アメリカのジレンマ』『沈まぬアメリカ』『〈文化〉を捉え直す』など。

「2020年 『白人ナショナリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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