犬のかたちをしているもの (集英社文庫) [Kindle]

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  • 高瀬さんの本は2冊目。
    登場する主人公の「わたし」は、どこにでもいそうな会社員。卵巣の病気で手術してたり、彼氏とのセックスがどうしても嫌になる、人だけど、まあそれほど突拍子も無い、イメージ出来ない人物像ではない。
    彼氏は、自分が思っていることに間違いない、正しいと思うことをやってるし、おかしいはずがない、という感じだけど、これもまあ普通にいそうな感じ。

    ただその彼氏が遊び、というかお金で女性としたことで子供ができてしまうところや、その子供を相手の女性があげます、と言って来るところは少し現実離れしている感じがした。
    でも、無くは無いかな、と。

    そんな状況で、わたし、が思っていることをずっと描いているんだけど、この文章が心地よい。このくらい細かく描写してくれると、とにかく気もち良い。

    状況は現実離れしているんだけと、心情はすごくよくわかるところが多くて、実感がわく。

    好きな感じ。

  • ほくそ笑んだり、嫌気が刺したり、驚愕したり、ガッツポーズで爆笑したり(あ、これはミナシロさんの最後の登場シーンで)そして「いや、無理だろ…」と訝しんで読了した。

    まぁ独り言の多い読書となった笑
    設定自体「無いわー」という感じだが、主人公の事情やら、それでも主人公のことが好きな彼氏やら、ネジが1本飛んでいるような女性やら…混ぜるな危険の3人が合わさるとこれがリアルなのかなぁとも思った。
    楽しかったです。

  • 自分が原因でセックスレスになり、子供ができる可能性も薄い。
    そんな状況で、彼氏が他で作ってしまった子供。
    子供は生むので生まれたら、貰って彼氏と育ててほしい。
    そんな申し出をされたらどうしますか?
    主人公に共感を覚えるのに、鑑賞移入できない不思議。
    ミナシロさんは、最初から郁也を狙っていたのでは?
    郁也はとことん自己中心的。
    初めてミナシロさんに会った後で泣いている主人公を慰める場面での
    「お金って、いくら払ってたの?一回あたり」
    「……一万円」
    このくだりで爆笑。
    主人公が生理的出血をする場面が何度も書かれています。
    これは男性の苦痛が観念的なのに対して、女性は身体的現実の苦痛が伴うのだ!
    分かってんのかオラ‼という著者の怒りを感じました。
    個人的には子ども云々よりも「居場所が変わる度に、友達も一新されてきた。」
    「共通する所属がなくなった後で、それでもわたしと会いたいと思う人なんていない」このフレーーズが切実でした。
    「犬のかたちをしているもの」
    相手の望むものを備えていなくても存在そのものが、認められ愛される。
    主人公がなりたいものなのではないでしょうか。
    大丈夫あなたは犬のかたちをしているよ。
    だから郁也なんか放ってしまえ(笑)

  • 性行為を好まない主人公、子供にも興味がなく同僚の赤ちゃんの写真を見ても「犬のほうがかわいい」と感じる、が口には出さずにいる
    同棲している彼の浮気がわかり、同時に相手が妊娠していることがわかる
    子供を生むのでもらってほしいと半ば決定事項のように伝えられる

    十月十日のうちに心境の変化や人との関わりを持ち、前向きに進んでいく主人公
    しかし思わぬ方向に進みおわる

    話としてこの終着点でよかったと感じた
    他の終着点も見てみたかったが心地よくない終わりかたで深みが増した

  • これ読んでる時期ちょうど生理が来なさすぎてたり子宮頚がん健診で精密検査になったりして気が気じゃなかったので完全に読む時期を間違えた。ミナシロみたいな女現実世界にはいなかったらいいのになあ。。。、主人公より側から見てる私の方ががはらわた煮えくり返りそうでしたね

  • 写真に写っている他人の赤子より犬の方が可愛く見えるしなんならそっちの情報が知りたいというのは共感しかない。

  • 二度と読みたくないと思った。
    それぐらい、自分の嫌な部分に触れられた感覚のある作品だった。今までも同じ考えに陥ったことはあるけど、さらに考えさせられた内容だった。どうせなら終わりがあってほしかったけどそれもかなわなく、もどかしい。

    でも確かに自分の大切な考えであることが確かめられた。こういう思いがあっていいと、肯定されるものがたりではなかったけど、もしかしたら間違っているのかもしれないけど、そういうこともあるって思わせてくれただけで救われた。

    男と女。産むもの、産まないもの。産めるもの、産めないもの。

    読んでよかった。

  • 赤ちゃん=かわいい。みたいな常識、多数派みたいな感覚を持たない「わたし」に共感して読み進めた。その他の結婚、出産、性愛などについても考えるきっかけになった。

  • 婦人病、不妊、代理出産の話しは、ちょっと年代的に身につまされまくるので途中で断念

  • (2023/238)【集英社文庫ナツイチ2023】妻の蔵書から。セックスをしたくない30歳の薫は、付き合って3年で半同棲状態の彼氏がいる。セックスレスでも好きでいてくれる彼氏だったけど、ある日とある女性から、その彼氏との間に出来た子供(妊娠中)を出産後には貰って欲しいと言われ。言われた薫の内省的な小説なんだけど、これは男には最終的なところで理解が及ばない気がする。あれ、もしかして僕だけなのか?これは正直苦手なタイプだった。

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著者プロフィール

1988年愛媛県生まれ。東京都在住。立命館大学文学部卒業。2019年「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞しデビュー。2022年「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞を受賞。著書に『犬のかたちをしているもの』『水たまりで息をする』『おいしいごはんが食べられますように』『いい子のあくび』『うるさいこの音の全部』がある。

「2024年 『め生える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高瀬隼子の作品

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