ひどい民話を語る会 (角川書店単行本) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 民話の中でも下品だったりオチがしょうもなすぎて日の当たらない「ひどい民話」ばかりを集めて語らう座談会。吸い込ん屁で爆笑しました。最高に面白かったけど物語をもっと読みたかった。「ひどい民話」アンソロジーが出版されたら絶対買います。

  • だいたい下の話してた。

  • 汚い話だなぁ!最高じゃないか!
    民話のプロフェッショナル達が、まるで飲み会の席のように民話について語っているのが凄く面白い。
    そして、とても勉強になる。

  • 印象に残った点。
    ・かつての娯楽は『話』であり、おばあちゃんが子どもたちに話した中で、面白い話が伝承され民話となった。
    ・有名な話に適当なアレンジを盛った内容が、今に残っていることもある。
    ・「雁取り爺」は、屁で婆さんを殺す話で、まるで漫☆画太郎の作品のよう。
    ・「とっぴんぱらりんのぷう」という秋田の結末句の気持ちよさ。
    ・理不尽な話が多い。しかし、それは昔の人が「筋」にさほどこだわりがなかったのか、メチャクチャな話を好んだのか、受容の思考に興味がある。
    ・「篩借り」が最も不条理でぶっ飛んでいる。きな粉→屁→金玉とれる→孵化する
    ・「釈迦と弥勒」の釈迦のバッタへのご褒美が笑える(「死ぬときの雑なアドバイスのみ」)
    ・類型化されないクレイジーな民話こそ、民のものであり、リアル。人らしさ。良く出来た話はつまらない。

  • いつの時代も人が好きなのは下世話なシモのお話。

  • 民話そのもののしょうむなさはもちろんだが、会合の様子をそのまま収録した格好を取っているので京極先生をはじめとするメンバーのツッコミが面白くて、何度もふきだした。適当に作られているようでなかなか練られた本だと思った。

    P007 ネタの善し悪しはあんまり関係ないんです。話し方が下手だから面白くないというわけでもないし、言葉が足りないわけでもないんですね。面白くないのは、ただ、”ツボ”を外しているからです。【中略】話が面白い人は”坪”に関係ないところを省いたりします。”坪”をクリアに伝えるために話を盛ったり、まま捩じ曲げたりもするでしょう。【中略】すべては”ツボ”のために、です。

    P010 柳田国男は、伝説、昔話、世間話というカテゴリを作りました。【中略】伝説と世間話は構成要素が重視されます。いずれも事実であることをと前提に語られるものだからです。一方世間話は盛れます。やりたい放題です。【中略】聞き手を喜ばせるためなら、ジジババのサービス精神はどんどんエスカレートして行くのです。結果的に取り返しの付かないものが生まれたりもします。囲炉裏端にはコンプライアンスもポリティカルコレクトネスもないんです。そして・・ひどい民話が誕生するんです。

    P43 柳田国男は昔話と伝説との違いを取りと植物にたとえて説明している。昔話は自由にあちらこちらへ飛び回る鳥のように移動するが、伝説は植物のように根を張り動かないと述べている。

    P66 便所の屋根葺きが発端となる昔話が、東北地方には異様に多い

    P096 きな粉関係はね、本当にひどいですからね【中略】豆が一つとか三つとか。それをきな粉に。豆ひとつなんて大した量じゃないはずなのに、なぜかきな粉を作ると大量にできるんだよ笑

    P108 日本の殿様の六割くらいは珍しいおならが聞きたい体質なんじゃないでしょうか。

    P120 (ねぎに土を)禰宜の末路は?ただの生き埋め?

    P124 民話のよさのひとつに「ちゃんとしてなくていい」がある。【中略】唐突に始まって尻切れトンボで終わる話や、途中かなりはしょったな、とわかる話など、明らかな”欠落”の見て取れる民話がたまにある。

    P125(柳田国男は)「果て無し話」のような子供を失望させる話も近代のひとつの教育様式といえると書いている。【中略】しつこい子供からの要求に対するずるい防御法であったというほうに私は一票だが。

    P129(民話集は民話を収集した人の趣味、それから語る人の趣味も影響している)例えば海外の人が日本に来てですよ、日本の小説家にインタビューしようと思ったとき、平山夢明に聞いて帰るのと、宮部みゆきに聞いて帰るのじゃあ全然ネタが違いますよ

    P173 ひどい民話は・・・思うにただの受け狙い―なんです。たまさか記録されてしまったために、民話というくくりに入れられてしまったけれども、もしかしたら一夜限りの、その場しのぎの、適当な与太話だったのかもしれないんです。そんなどうでもいいものが後世に伝えられるなんて、素晴らしいことではありませんか。

  • ひどい内容

  • これはひどすぎる。笑いが止まらないほどに、ひどすぎる。電車の中で読むのも一苦労だった(もちろん、笑いをこらえるため)。真のエンターテイメントとは、こういうところにあるのだろう。

    民話、それはじいさんが話を盛り上げすぎた結果できあがったナンセンスの極み。ばあさんが話をはしょったために現れた不条理の連鎖。民話マニアの京極夏彦を中心に座談会形式で進む、そのスタイルもひどさに拍車をかけている。この本を読まないということは、人生の大きな楽しみを一つ手に入れないままになってしまうことになる、と思う。ひどすぎるので、絶対に読んでほしい。

  • ふむ

  • わろた。さすがに艶笑譚は掲載できないからそれを除くと前書きにあったが、そうなるともう糞尿譚しかないと。いや、糞「屁」譚が多い。多いというかそれ一辺倒(^^)おばあちゃんが孫に語り聞かせて、ゲラゲラわらってもらって盛り上がる話題といえば、やはりそこに行く着くのかなあ。そして日本人らしい不条理や残酷さが、昭和を少し思い出す。令和がいかに息苦しいかと思った。こういう毒のあるユーモア(?)を排除するのは、余裕がないからだろうなあ(^^)

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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