死刑のある国で生きる [Kindle]

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  • 死刑のない欧州と死刑のあるアメリカ及び日本の死刑囚、その家族、被害者遺族を取材して比較する。国家が人間の命を奪うのは野蛮の極みであり民主主義国家にとってあってはならないことと認識する欧州の価値観はキリスト教的な隣人愛に基づいている。その信仰が根付いていない日本は死をいわば償いとして捉えている。日本人にとっての「神」とは世間であるのかもしれない。この違いは優劣ではなく文化・価値観の差異。死刑のある日本が世界で最も犯罪の少ない安全な国であるのに対して、死刑を廃止したフランスでは警官による射殺事件が相次ぎ治安も悪化の一途をたどっている皮肉。銃殺も死刑の一種ではないか、との著者の見解は慧眼。遺族は必ずしも犯人の死刑を望んでいない、彼らが自身の罪を悔い、一生苦しみ続けることを望んでいる。死刑が犯罪抑止にならないという理屈は理解できる。一方で死刑によって犯罪者が更生する可能性というのがあるように思える。この本を読んだだけで軽々には言えないものの、執行されるか否かを別として、自分は死刑制度自体はあっていいと思うのだが。

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著者プロフィール

ジャーナリスト

「2020年 『ルポ 外国人ぎらい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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