タングル [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 量子コンピュータの開発を巡って、国と国が陰謀を画策するストーリー。
    量子コンピュータのこと、この本で初めて知った。未来が少し明るく思えた。
    最後は「ハゲタカ」のあの人も登場…!

  • 年末にシンガポールに行ったので、すごくイメージが湧いた。最後に鷲津氏が(^^)

  • さすがこの作者のものなのでおもしろかったが、最後が尻すぼまりの感じがした。いろいろ難しい問題があるのに最後あまりにも簡単に解決しすぎでは?シンガポール政府からシンガポールの魅力を伝えるものを書いてほしい、ただしシンガポールをほめちぎる必要はない、と言われて書き始めたというのが興味深い。コロナの話まで出てくるから新しい本だ。量子コンピュータは将来性がありそうだ。

  • ハゲタカシリーズと同じ世界線の作品!
    量子コンピュータの開発をめぐる日本とシンガポールの共同プロジェクト。
    国家からの圧力、様々な思惑が絡む真山さんならではの展開ではありつつ、ちょっとダークな部分は抑えめな印象。
    シンガポールは漢字で「星」と表すんですね!!

  •  量子コンピュータって、どういう技術なのか、さっぱりわからない。
     暗号を簡単に解いてしまうという話もある。量子力学の理論は「生きている状態と死んでいる状態が重ね合わさっている」ということだ。実に哲学的な説明である。小説の題名は『タングル』。もつれるという意味であり、二つのビットが同時に起きる状態を意味する。この本では、量子コンピュータはあまり電力消費がないということを利点にしている。スーパーコンピューターは、電気を消費しすぎる。冷却装置がいる。スパコンを一台動かすのに、原発1基がいると真山仁はいう。
     シンガポールを舞台にしている。シンガポールは、アリババが大きなビルを作っているという。結局は、中国の統制から離れて、シンガポールは馬雲の活躍しやすい場所であり、新たな華僑ネットワークができるような感じもする。
     シンガポールは、国父リークアンユーの強力なリーダーシップでアジア最強の経済大国にした。人口は580万人で、90%が持ち家であり、国内総生産(GDP)が世界で二番目に高いという。世界平和度指数9位、国連人間開発指数9位である。汚職の少ない国とも言われる。
     シンガポールの自由で進取な気風があり、政府が思い切った規制緩和をする。日本の量子コンピュータの最先端を歩んでいる東都大学工学部光量子コンピューター研究者の第一人者、早乙女貴一教授の技術をシンガポールの特別な地域を設定して、誘致するという構想が持ち上がる。その背景には、日本政府の量子コンピュータへの理解がなく、その研究資金が少ないということが原因である。政府はスーパーコンピューターに力を入れている。日本政府の先端的な研究に対す軽視と貧困がある。
     シンガポールは、金融と観光で大きな成功を収めてきたが、次の先端技術を取り入れたいという考えのもとに、日本の先進的な技術を持っている大学や研究施設を誘致して資金を投資する。
     シンガポールは、リークアンユーの敷いた路線を、何の疑いもなく走るだけで、家柄もいい人たちが政府の幹部になっているが、創意工夫もなければ、未来を見据えたビジョンもない。必要なのは、自分の頭で考え挑戦する。時には失敗もするが、試行錯誤を繰り返しながら活路を見出していく若者が欲しいのだ。そういう人材がないことがシンガポールの弱みだ。日本では、独創的な技術を持ちながら、その技術を支援する仕組みがないことが問題で、シンガポールと日本の弱さを補い合えるというストーリーだ。そのような背景から、早乙女教授は、シンガポールに進出する。当然、量子コンピューターの最先端なので、アメリカからも共同研究の提携が持ち上がっており、中国の投資集団からも中国への勧誘がある。中国は量子コンピューターに力を入れており、量子コンピューター積載人工衛星に成功もしている。それでも、早乙女教授は、シンガポールに可能性があると感じていた。
     それは二人の天童寛太郎84歳とリークアンユーの側近だったドニーリューのフィクサーによって仕組まれた。その二人は、提携しながらも天童はシンガポールに金を出させ、日本の利益になることを考えていた。ドニーも、「国家繁栄法」を策定して、成果はシンガポールのものにするという企みがあった。
     早乙女教授は、シャノンの法則を打ち破る通信容量を確保し、量子超越性を達成しようとしている。
    量子コンピューターの弱点は、誤り修正の精度にあった。古典コンピューターの計算は、99%以上の精度を誇るが、量子コンピュータのエラーコレクションの精度は90%にも満たないことだ。早乙女教授はあるアイデアを思いついて、そのエラーコレクションを99.9%の精度に高めることができた。
     ふーむ。若者たちが、老害を排し、そして『ハゲタカ』に登場したサムライキャピタルの鷲津が、早乙女教授の作る会社に投資する。ふむ。おもしろい。日本の先端技術の展開が小説ではうまく収まるなぁ。鷲津が出て来れば、間違いない。それにしても日本政府の研究軽視の姿勢は日本を沈没させる。

  • 世界初の量子コンピュータ実用化に向けて、日本とシンガポールでの共同開発。
    日本はシンガポールに金だけ出させて果実を得たい。
    シンガポールは技術を独占したい。
    そんな両国の思惑が渦巻くも、最後はまさかのハッピーエンド。
    真山仁作品らしからぬ結末。

    ラストにはハゲタカ(鷲津)も登場します。

  • 真山仁さんならではの背景のディテールとスピード感で一気に読めた。

  • 量子コンピュータと国際間開発プロジェクトの物語かな?

  • シンガポール観光に、今をときめく(光)量子コンピューターと、スター登場で、あわせて一本、という感じ。それぞれが中途半端(主役?の研究者の魅力が、説明するほど伝わってこなかったし、ハゲタカ系になりきれないし、これを読んでシンガポールに行きたいともあまり思わなかった)ではあるが、さすが一本は取っていく真山仁の底力。そして、ハゲタカを再読したいと思ったということは、してやられているのか!

  • ふむ

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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