半導体戦争――世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防 [Kindle]

  • ダイヤモンド社
4.46
  • (40)
  • (20)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 271
感想 : 35
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (573ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 半導体ビジネスの歴史を描く書籍。アメリカのライバルとしてソビエト連邦や日本が登場する。シリコンバレーの情報を盗み、コピーする戦略を採るが、パクリ商法という卑怯な手口がうまく行かないことは当然である。
    「ソ連の「コピー」戦略は、ソ連の技術的な遅れを宿命づけ、むしろアメリカに利したというほうが正しい」206頁
    新型コロナのパンデミックで半導体不足が起きた。しかし、これは半導体生産が落ちたためではなく、テレワークなどによる需要の拡大によるものである。
    ロシア連邦のウクライナ侵略ではロシア連邦軍の弱さが露呈した。ここには半導体不足がある。ロシア連邦への経済制裁は意味がある。

  • 半導体産業発展の歴史、そして今や各国の軍事力を持ち込む左右する巨大で複雑な半導体製造の国際分業体制について、分かりやすく解説した書。

    米中対立が深刻化し先が見えない台湾情勢に最先端半導体生産の要TSMCの存在が大きく関わっていること、そして各国や各企業の思惑もあって半導体を巡る世界情勢を一朝一夕には変えられないことなどがよく分かった。

    良書だった。読んでよかった!

  • 1950年代、真空管に代わってトランジスタが発明された時代を起点に、台湾や韓国が世界の半導体生産の中核を担うようになるまでの半導体産業史をまとめた1冊。
    舞台はアメリカから始まり、冷戦中のソ連、そして1980年代に世界を席巻した日本、そして再びアメリカを経て台湾、中国へと移り変わります。
    約60年間に渡る半導体産業の歴史を、技術開発や、販売・生産の戦略など様々な面から分かりやすくまとめてあります。ちょっと大判で500ページを超えるボリュームですが、上記の内容を漏れなくカバーするには、これぐらいのボリュームは必要最小限だと思います。
    各章が10ページまでにまとめてあり、それぞれにタイトルが付されていて全54章構成。時系列に従って各章が記述されているので、半導体産業史を追体験する大河ドラマを見ているかのような感覚です。読んでいて全然疲れませんし、半導体に関する専門知識が無くても読み通せます。
    本書にも記述があるように、半導体は石油に代わって世界を支配する”資源”と言えます。一方その分布を人間が差配できない天然資源である石油に対し、半導体は国家や企業の戦略がその生産地や中核となる技術の立地を決定してきたことが大きく異なります。したがって石油よりもより”人間臭くて生々しい”ドラマが半導体産業史を形作って来たことが良く伝わって来ます。冷戦期のアメリカとソ連の駆け引き、なぜ1980年代に日本が世界の半導体生産を席巻できたのか、そしてなぜ凋落したか、韓国・台湾といった東アジアになぜ現代の半導体生産の中核が存在するのか、台湾をめぐるアメリカと中国の争い、などなど、興味深い切り口が満載です。半導体の産業史は、この1冊を読めばほぼ理解できるぐらいの充実した内容でした。

  • 現代の社会情勢を知る上で必読の書。
    これを読めば、日本政府が海外の半導体関連企業が日本に進出して、そこに莫大な補助金をつけることの必要性を理解できる。

    それにしても、現代社会を支えるテクノロジーの核である半導体のサプライチェーンが、このような薄氷に乗ったような状況であることには強い不安を…感じますよね?

  • 膨大なインタビュー、資料に基づいた半導体産業興亡史。個人的に興味深かったのはこれまで日米半導体戦争の呷りを受け、日本企業の技術を韓国に提供したため、今日の日韓企業の競争力の逆転したと喧伝されていたが、本書では全く言及がなく、むしろオフショア戦略に基づき米国企業が積極的に技術移転を行っていたことが大きな要因であることがわかった。

  • 流れとしては半導体黎明期からアメリカが基軸となり、1980年代の日本勢台頭→アメリカ復活→世界的なサプライチェーンとなり韓国・台湾が台頭→中国の挑戦という歴史的な流れが網羅されています。
    同時に日本・台湾・韓国台頭がアメリカの対ソ連・中国対応だったり、自分たちがヤバくなるとワシントンでロビー活動する政治面が非常に大きい産業でもあると改めて実感しました。
    仮に台湾有事の場合半導体の供給の乱れはコロナの比じゃないレベルになるというのもわかるので怖さを覚えました。

  • 半導体の歴史、地政学を膨大な資料と取材で著した現代の名著。ここに書かれることは知ってたとうそぶくレビューを見たが、米台中日と渡ってかつ時系を遡ってこれほど網羅的な知見で書かれた読み物は無いように思う。

  • 最初の数頁を読み進めたとき、「半導体産業に関わる人たちは『ムーアの法則』を如何に法則たらしめたか」みたいな本かな、と思ったけれど、7割くらいは正しい予想だった気がする。

    米国のフェアチャイルド社やテキサスインスツルメンツ社の初期の経営者や技術者のアイディアや熱意は凄まじい。

    ただ、予想外だった残りの3割は、半導体産業の中にいる人々だけでなく、広く他の産業や政治なども含めて、ムーアの法則の行方を左右する重要な要素になっていたということだった。さらに面白いのは、サプライチェーンのグローバル化(というより「台湾化」?)が進むにつれ、従来は人や社会がある程度自発的に実現しようとしていたムーアの法則が、あたかも自己実現的に、(少なくとも外形的には)制御が曖昧なかたちで成し遂げられていっているように見えることだ。ある特定の技術がこれだけ社会に埋め込まれているような過程というのは他にも事例があると思うが(技術哲学で言うところの「社会技術システム」のようなものか)、現在進行形で、かつ地球規模で発生しているものであるが故に、目が離せない話でもある。

    あとは、本筋と関係あるかないかもわからないが、日本が栄華を極めた1980年代の様子が描かれるのを読んだ際、その後のある種の凋落まで同時に想起してしまい、なんとも言えない気分になった。

    なお、私自身、半導体の専門家でもないし経済史の専門家でもないので正確な判断は下せないが、いわゆる世間一般に流布する見方(例えば、1980年代の日本企業はコピーで大儲けした、華為は中国政府からの補助金や軍との繋がりが故に儲けた等)を慎重に検討した上で、より現実的と思われる見方を提示している点は、著者の誠実な研究・執筆姿勢を表しているように感じられた。

  • 北海道にRapidus最先端半導体工場ができる!
    半導体のイロハを勉強 半導体3部作+深田萌絵
    勉強のテーマを頂くのは幸せ!
    半導体の歴史=「ムーアの法則」を実現
    IT化による情報化社会を実現した 第4次産業革命
    生産性の上昇に加え、大きな社会変革を実現した
    ①インターネット・クラウド
    ②コンピュータ→PC→スマホ
    ③AI
    §39EUVリソグラフィー 2ナノ半導体
     ①技術開発 ムーアの法則?
     ②用途開発 軍事用から?
    §42対中国問題 
    米国世界戦略 最先端分野では対中国封じ
    ①TSMC(中国に通じている?) ②サムソン
    Rapidus 1986日米半導体協定1985プラザ合意とセット  
    →米国世界戦略の転換 朝鮮戦争特需と同じ
    ただし付加価値の低い組立作業は中国に依存
    中国との全面戦争はない米国も多大な犠牲が見込まれる
    「習近平の台湾統一」の顔を立てる

  • 半導体の製造の歴史は米国を中心に回っているということがよく理解できた。

    一時は日本が席巻するも、分業化が進む中で、核となる技術を押さえつつ、サプライチェーンとして台湾、韓国、オランダ等を加え、自国製造のみに頼らない効率的な製造体制を作り上げている。

    これまでの流れは必ずしも全ては米国政府や企業の意図どおりのものではないかもしれないが、やはり移民を中心とした優秀な技術者達の存在が、結果としての米国優位の体制を作り上げたと考えるべきか。

    最後は中国との競争の話になっているが、単に技術をコピーしてより良いものを作るだけであれば、時間の問題で中国が米国に並ぶことは可能だと思われる。
    しかしサプライチェーンという形で、世界各国の最も優秀な技術を組み合わせた製造体制を作り上げることが、中国に可能かどうか疑問である。
    自国中心の中国政府にそのような構想は不可能であり、またHuawei等の企業も、構想は可能でも、米国が安全保障の観点での技術を保護するようになってしまったことで、今後はこれまでのようにうまくはいかないと思われる。

全35件中 1 - 10件を表示

クリス・ミラーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウォルター・アイ...
ハロルド・ジェニ...
フィル・ナイト
リチャード P....
クリス・アンダー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×