シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由 (文春新書) [Kindle]

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  • シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由。松竹 伸幸先生の著書。日本の主要政党で党首公選が行われていないのは共産党と公明党のみ。党首公選が行われていないのは一長一短。党首公選が行われていないことが絶対悪ということではない。党首公選が行われていない政党の考え方に賛同できないならその政党とは距離を置けばいいだけだし距離を置くしかない。ヒラ党員が党首公選を求め立候補することで政党関係者が党首公選について立ち止まって考えるきっかけになるかもしれないけれど。

  •  党議拘束というシステムがあって、特に日本ではその拘束力が強い(法案によってはゆるやかに判断し、参議院では不必要、と考えているが)。さらに日本共産党は、〈党内に派閥・分派をつくらない〉という規約があるので、党議に反することはできない、とされている。それは、〈他の政党を見ていると、複雑な問題が起きた際、賛否が分かれて議論され、やがて対応がまとまっていく過程が可視化されるが、共産党の場合、賛否が分かれているだろうに、どういう根拠で結論が導かれるのかが外からは見えない〉、ことからもわかるだろう。その弊害を取り除くため、松竹は党首公選を求める。
     
     そして、指導機関である中央委員会自体が、〈提案された議案を「全会一致」で可決してきたから〉、〈争うべき政策や方針のない選挙になって〉しまう。では、著名なものが立候補は可能なのか。〈ヒラの党員である私は、自分の所属している支部の党員にしか推薦をお願いするための働きかけをすることができない〉のであり、「私が隣の職場、地域の支部に出かけて行って、そこで推薦をお願いする行動をとれば、何らかの処分が下されることになる。志位氏が同じことをしても問題にならないが、ヒラの党員がやれば問題になる〉という驚くべき規則があるという。
     
     ちなみに、家事の危険を避けるため、今まであった冷蔵庫を撤去されたが、新しい建物には冷蔵庫をおいている部屋もある。そのことを伝え政策委員会にも置かせてほしい、と伝えたところ、「なぜあの部局にあることを知っているのだ。他の部局と連絡をとることは分派につながる行為だ」と批判された、という「同じ建物内なのになぜ?」という信じられない話も紹介されている。
     
     あくまで、共産党で重要なのは内部での評価であり、「共産党」という名称ではないだろうか。外部に対する配慮がないように思える。
     
     〈野党が協力し合って、政権をめざすためには、日本最大の労働組合組織である連合と共産党が正常な関係を持つことは不可欠である。両者が会談さえできない状態は不正常である〉。基本的に共産党は資本主義を否定しているから、労使の対話の担い手である労働組合は認められるものではない。だが現状をみれば、資本主義の世界にある。そのあたりを考えて、共産党が歩み寄るべきだと考える。

  • この本を出版したことで著者は日本共産党を速攻除名処分となった。異論を認めない共産党の硬直した姿を広く知らしめる結果となったのが皮肉。本の内容はこれから読んでみるのだが、普通にまともは主張だとタイトルからは予想する。共産党さん、ちょっとは自己批判したら?
    →読了:2023/03/28
    回り道をし過ぎて読み終わるのに時間がかかったが、内容は納得。こういう主張を「分派活動」とかいって排除するようでは共産党に未来無しですね。

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著者プロフィール

松竹伸幸(まつたけ・のぶゆき)
1955年長崎県生まれ。 ジャーナリスト・編集者、日本平和学会会員(専門は外交・安全保障)、自衛隊を活かす会(代表・柳澤協二)事務局長。一橋大学社会学部卒業。『改憲的護憲論』『〈全条項分析〉日米地位協定の真実』(共に集英社新書)、『9条が世界を変える』『「日本会議」史観の乗り越え方』(共にかもがわ出版)、『反戦の世界史』『「基地国家・日本」の形成と展開』(共に新日本出版社)、『憲法九条の軍事戦略』『集団的自衛権の深層』『対米従属の謎』(いずれも平凡社新書)、『慰安婦問題をこれで終わらせる。』(小学館)など著作多数。

「2021年 『「異論の共存」戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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