星くずの殺人 [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 宇宙空間でホテル体験のモニターとして宇宙ホテル『星くず』のに宿泊するパイロット・モニターが次々と殺人事件に巻き込まれていくというストーリー。
    人類には行ったことのない人の方が大半にもかかわらず描写がとても細かく、ホテルの中の重力の概念や世界観が徹底されて物語が頭に入りやすかったです。重力が無い中で首つりや火災がどうやって起こったのかという謎がより全面に出ている感じがしてとても面白かったです。
    またキャラクターが立っている人が多くて面白かったです。天動説を信じる政木や不登校気味の女子高生の真田などクセの強い登場人物が閉鎖的な物語に良いアクセントを付けていてとても良かったです。そして彼らの犯人への言葉は凄く重く、彼らなりにしっかり人生に向き合ってきたのだなという事が分かり、そのギャップで更に彼らの事が好きになりました。
    キャラクターも謎も、伏線も全てが面白いので是非読んでみてください。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    土師穂希:浪川大輔
    真田周:伊藤彩沙
    伊東機長:三宅健太
    政木敬吾:石田彰
    山口肇:安元洋貴
    島津紺:三木眞一郎
    宮原英梨:瀬戸麻沙美
    澤田直樹:前野智昭
    菅山:中村悠一
    中田:吉野裕行

  • まさかの「宇宙」で起こるクローズドサークル。発想が面白いし、登場人物に面白いキャラクターの人もいる。

    でもなぜだろう?宇宙で殺人事件が起きているという緊迫感があまり感じられず、没入感を感じることができなかった。

    登場人物に個性はあるのに人物像が頭に浮かんでこない。
    読んでいて自然と頭の中で映像が浮かんでくるような本が好きなので、面白かったけど自分が好きな感じではなかった。

  • 面白かった。
    リアルSFを求める人には、甘さが気になるかもしれないが、ライトミステリーとしては読み応え、と言うよりは口当たりよく、さっぱりとしていて重たい作品の合間や、読後にちょうどよいフローズンストロベリーのチョコレートがけ的な作品。

    そんな作品にリアリティーというか、調理のテクニックを求めるのは、入った店を間違う方が悪い気がする。

    全体的に低評価が多いので、少し甘めに星くずを集めて採点した。

    たぶん↑これくらいの感じだと思います。

  • おもしろかった!!!
    クローズドサークルの舞台は孤島や絶海ではなく宇宙!
    一人3000万円の「格安」宇宙旅行のスタッフの土師は初日に憧れのパイロット伊藤が無重力空間で首吊り死体となっているところを発見する。
    首吊りとなると自殺を連想するがわ無重力空間で首をつろうとする自殺者などいるか?でも争ったあとはない。その状態でもツアーを続行する方針でまとまった一行。
    だが何者かに通信手段は遮断され、続いて殺人が起きてしまう。唯一地上から届いたメッセージは、戻るな、危険。
    伏線がしっかり回収され、宇宙空間ならではのトリックと動機がすごく面白かった。

  • 近い将来、人類が自由に宇宙を旅することができるようになるのだろうか。
    もしそうなったとしたら、この小説に書かれていたようなことも現実に起こるのかもしれない。
    人間が複数集まれば、そこには必ず何らかの諍いが起こる。
    そうなったら、地上で起きているような事件もが今度は宇宙で起こる、そんな未来もきっとあるのだろう。

  • 宇宙ホテルが舞台の殺人事件いう設定に惹かれ読んでみました。
    始めの方は事件が発生したりしてワクワクして読み進められましたが、だんだん失速してくる印象です。
    会話が長いし、事件も地味、スタッフがいなくなるシーンもそうはならんやろと感じました。
    物語の進行上登場人物を絞りたいのはわかりますが、作り込みが甘いというか無理やり感が否めませんでした。
    いろんな電子機器が壊れるシーンも原因が素人の自分でも思いついたくらいなので、最後の方まで思いつかなかったというのも違和感でした。
    せっかくスケールが大きくもっといろんな事ができたと思うけど期待外れでした。。
    最後まで読めたのでつまらなくはないですがまぁ普通くらいの印象です。

  • コンセプトこそキャッチーだが、舞台設定がとにかくガバガバで微妙だった。つまらなくてナナメ読みした。
    こういうミステリってトリック大事だと思うんだけど、EMPとか二酸化炭素とか宇宙特有のアイディアこそ使われてたものの(それらは必ずしもつまらなくはなかったが)、そのあたりのリアリティラインを担保できないってどうなんだろう。ちょっと宇宙関係者にインタビューでもすれば済みそうなのに、というレベルでひどかった。

    全員日本人の尖ってる風のキャラクタードラマに時間が割かれていたが、国内ミステリはこのように書かないと売れないのだろうか、とも思った。ただ本作について言えば、キャラクター描写はどれも浅いし、愛着も全くわかず(というか区別も難しく)、さらには全員日本人で人物設定も含めてリアリティラインを大きく引き下げていて、大失敗だったと思う。

    以前読んだ『時空犯』もひどかったが、SF風ミステリのガバガバ感なんなんだろう。

    時計とか赤ペンライトとか、それぞれの描写が一応伏線的になっているところはミステリっぽくはあった。
    機長を首つりに見せかけられたことは、きちんとした説明がなされておらず、驚きはなし。結局少ない力(慣性力と磁力ブーツ)でも殺せましたってだけ? 殺した理由もなんか邪魔だったけどツアー中止にならない程度にやった的な取って付けたような感じで納得感はない。

    鍵となるEMPだが、そんな都合よく効果出せるもんなんだっけ。犯人の動機の壮大さこそ悪くないものの(とはいえ荒唐無稽で、インテリぶってるけどキャラとしての底がめちゃ浅い)、疑問符が残りまくった。

    似たこと考えてたので警戒していた一作だが、こんなレベルなんだ、と良くも悪くもがっかりした。


    ## ■微妙なところ

    ・宇宙ホテルなのに日本人向け? ビジネスモデルどうなってるの?
    ・IHとはいえ自分で料理できたり、そんな宇宙施設ある?
    ・主人公のパイロットは客を乗せてるのに初めて宇宙へ(テストとかまったくやらないんだ…)
    ・ホテルの通信系はまさかのWi-Fiのみで冗長系なし。なぜか地上との通信はイリジウム衛星を使用。アンテナもなし?
    ・通信途絶や機器以上が起きてるのに、地上でのモニタリングの気配なし
    ・プレオープンなのにスタッフ数は通常よりも少ない。PoCじゃないの??
    ・突然逃げ出すスタッフ(脱出ポッドってそんなに便利なものなの??)
    ・マニュアルはネット公開のものを見ていたからわかるとのこと(なんじゃそりゃ)
    ・勝手に単独船外活動し、0.5気圧に一気に下げる(なんじゃそりゃ)
    ・迷惑メールを恐れてローマ字でメール、宇宙服は一着だけ
    ・宇宙でラーメン登場(低重力とは言え、汁物用意する?? 作劇上の必然もナシ)

  • 基本的にSFは現実にはないことを描かないといけないため、著者、読者共にかなりの想像力を必要とするジャンルだと思っているのだが、この小説はミステリーが主軸ということで、そこに躓くことなく結構さっくりと読むことができた。

    最初の無重力空間での首つり死体が発見される、というところから物語が進んでいくのだが、宇宙空間という特殊な状況をうまく物語に取り込んでいると思う。
    私には科学的な知識はほとんど無いので、「そういうものなんだ」として捉えて読み進んでいったが、書籍にするに際して、実際には様々な考察や下調べがされているのだろうと感じる。

    近年は情報技術の発達で「嵐の孤島もの」を設定するために、かなりのパワープレイを要する小説が増えていると感じるが、この物語では宇宙空間というありそうでなかった非日常性をうまく利用し、そこへ無理なく誘導していると思う。
    そのため物語に入り込みやすい。

    ロジックもよく組み立てられていると思うのだが、特に主人公の心理描写や情景描写が伝わりやすいと感じた。
    様々なアクシデントを乗り越える主人公の、簡単でありながら明瞭に表現された文章に一気読みさせられてしまった。

    まぁ、宇宙空間が近い未来に普通の日常として捉えられる時代が来るのだろうが。

  • なかなか壮大なミステリであり、終盤だったなあ。

  • そこに行ったことがあるかのような現実的な描写に引き込まれたミステリー。

    犯人は紛争解決コンサルタント。EMPを作って宇宙から撒いて地球上の全ての兵器を無効化しようとしていた。

    二酸化炭素や水分を宇宙に廃棄するシステムを利用し、張力を生み出して首吊りで殺したり、二酸化炭素消化ボンベで殺したりした。

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著者プロフィール

1980年、京都府生まれ。帝塚山大学大学院法政策研究科世界経済法制専攻修了。南宋を舞台にした武侠小説『老虎残夢』で第67回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。筆名は、敬愛するアメリカの伝説的ギタリスト、フランク・ザッパからとった。

「2023年 『星くずの殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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