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感想・レビュー・書評
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会社と交渉できる日本人なんてまずいない。それは著者のような外国人から見たら、ここが変ダヨな部分かもしれないけど、日本の現実。まぁ、会社との交渉、転職は一例であって、国全体を富ませるためには個々人何ができるか、イノベーションに向けて個々人鋭意努力すべし、という主張だと認識。第8章エセ評論家に騙されるなは思いあたる主張がずらり。騙されていたのかも。やっぱり本はいろんな人のものを読むことが大事。
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最近ようやく組合によるデモが目立つようになってきたとはいえ、まだまだ従業員の立場は弱い。もっと声を上げていく必要があるという本の趣旨は賛同できる。
が、政府が期待できないから個人努力で何とかしようというのは、あまりにも政府に対して甘すぎはしないかとも思う。まぁ、民衆がもっと政治に関与して、頭の悪い政策を見つけ次第反発していく必要があるから、結局のところは個人努力に帰結するんだろうけど。
あと、イノベーションという言葉も根性論と同じで雲を掴むような話なので「だから何?」としか思えなかった。魔法の杖みたいに現状が180度変わるような"イノベーション"なんて存在しないから、ちょっとずつできることをするしかないんだよね。 -
昇給の交渉できますか?
会社が求めるパフォーマンスに無駄に怯えて交渉を避けてませんか?
プロとして自分の市場価値や、どんなところで「イノベーション」を起こせるかなどのメタ認知はできていますか?
とか、読みながら自問しました。
もう、ここばかりは行動を起こせるかどうか、本人の覚悟(危機感)に掛かってるかと。 -
日本人の給料が低いということは、すでに多くの人に知られているところだろう。なぜそうなるか。現状に甘んじていたからだ。昨日と同じ今日を生きようという思いが、昨日と同じ仕事でいいよねとなり、その間に世界は先に進んでしまったという話だ。現状維持をしていれば、相対的に下がっていく。
以前、トリクルダウンという話があった。目端の利く人が多く稼いでくれれば、そのおこぼれが落ちてくる、と。現状を見て、トリクルダウンはなかったね、というのがそのオチになるんだけど、本書を見て違う見方があることに気がついた。おこぼれは勝手に落としてはもらえないのだ。目端の利く人は、そもそもおこぼれなんてくれない。そうではなくて、そういう人が欲しがるようなサービスを高い報酬を要求しながら提示すれば、そこが雫の浸透する道になる。
つまり落ちてくるのを待っていても、絶対に落ちてはこない。自分で水が流れていく道を作らなければ、政府も社長も自分のために動いてはくれないし、そもそも、誰か、一個のヒーローで動かせるほど、世の中は軽くないのだ。自分が動かなければならない。
単純に高い金を取れとか、報酬や研究投資に多くを出せという話ではない。昨日とは違うこと、昨日より今にあったことをするにはどうすればいい、そう考えた結果として投資は起きるのであり、報酬は増えていくのだ。イノベーションとは、機械的な技術の革新ではなく、まずは昨日とは違うこと。新しいことをやろうとする試みなんだろうね。それは個人でもできる努力だろうし、すぐに変化がないとしても、ちょっとずつ変え続けばければ、逆に沈むばかりなのだ。これまでの日本の20年、30年がそうだったようにね。
厳しくも、刺激的で元気になる本だったな。