「複雑系」入門 カオス、フラクタルから生命の謎まで (ブルーバックス) [Kindle]
- 講談社 (2023年4月13日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (271ページ)
感想・レビュー・書評
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まだまだ発展途上にある「複雑系」研究の基本を豊富な図で解説。フラクタル図形を描画できるサイトなども紹介されていて、PCを動かしながらマンデルブロ集合のめくるめく世界を楽しんだ。
秩序と無秩序の岸辺にある「カオスの縁」においてあらゆる創発が起きるらしい。生命進化もしかり、雪の結晶もしかり、アイデアのひらめきもしかり。
とても気になる領域だ。
創発の結果、しかしそれらが長い間残存するとは限らない。良し悪しはわたしたちが、そして結果と時間だけが決めることだ。それは『理不尽な進化』に詳しい。
そう考えると、雪の結晶というのは、結晶化した花火のようなものなのではないか。
哲学者ベルクソンのいうエラン・ヴィタル(生の躍動)という概念は、進化という概念を間に挟んでみると、これはカオスの縁のことを指していたのだな。
著者の文章がやけにうまいと思ったら、彼は小説家でもあるのだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カオスもフラクタルも好きなので大変楽しめました。
ライフゲームの小ネタも面白かったです。 -
著者が冒頭で説明してくれたとおり、文系の自分でも割とスムーズに頭に入る。幾人かのキーパーソンの生い立ち、エピソードを交えながら「複雑系」の歩みとともに、どのような科学なのか、いままでの科学とどう違うのかがよく理解出来る。フラクタル、ライフゲーム、オートマトンと興味深いコンテンツがしっかりつながり、遺伝、進化の分野に広がっていくのがとても面白い。「カオスの縁」という言葉が、イメージしやすかった。自分にとっては20年振りのリバイバルの話題なのだが、以前よりリアリティを感じるように思えた。
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カオスという状態/現象が、還元論的な世界観を超えた先のフロンティアとして描かれる。
また、カオスには生命の深淵がのぞかせるスリリングな読後感があった。