「複雑系」入門 カオス、フラクタルから生命の謎まで (ブルーバックス) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • まだまだ発展途上にある「複雑系」研究の基本を豊富な図で解説。フラクタル図形を描画できるサイトなども紹介されていて、PCを動かしながらマンデルブロ集合のめくるめく世界を楽しんだ。

    秩序と無秩序の岸辺にある「カオスの縁」においてあらゆる創発が起きるらしい。生命進化もしかり、雪の結晶もしかり、アイデアのひらめきもしかり。
    とても気になる領域だ。

    創発の結果、しかしそれらが長い間残存するとは限らない。良し悪しはわたしたちが、そして結果と時間だけが決めることだ。それは『理不尽な進化』に詳しい。

    そう考えると、雪の結晶というのは、結晶化した花火のようなものなのではないか。
    哲学者ベルクソンのいうエラン・ヴィタル(生の躍動)という概念は、進化という概念を間に挟んでみると、これはカオスの縁のことを指していたのだな。

    著者の文章がやけにうまいと思ったら、彼は小説家でもあるのだった。

  • 複雑系の感覚が少しわかったような気がする、短い単位を連続して測っていくと無限に長さが増えるフラクタル、シンプルなルールから複雑な構造物ができていくライフゲームや、カオスの淵を目指して進んでいく物事、一つ一つが科学の新しい姿に触れられるような、読み終わる頃には今を見つめていくことをより深めていくような、そんな気持ちになった

  • カオスもフラクタルも好きなので大変楽しめました。
    ライフゲームの小ネタも面白かったです。

  • 著者が冒頭で説明してくれたとおり、文系の自分でも割とスムーズに頭に入る。幾人かのキーパーソンの生い立ち、エピソードを交えながら「複雑系」の歩みとともに、どのような科学なのか、いままでの科学とどう違うのかがよく理解出来る。フラクタル、ライフゲーム、オートマトンと興味深いコンテンツがしっかりつながり、遺伝、進化の分野に広がっていくのがとても面白い。「カオスの縁」という言葉が、イメージしやすかった。自分にとっては20年振りのリバイバルの話題なのだが、以前よりリアリティを感じるように思えた。

  • カオスという状態/現象が、還元論的な世界観を超えた先のフロンティアとして描かれる。
    また、カオスには生命の深淵がのぞかせるスリリングな読後感があった。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。1997年『算学武芸帳』(朝日新聞社)で朝日新人文学賞、2006年『抗蒙の丘―三別抄耽羅戦記』(新人物往来社)で歴史文学賞、2014年『13歳の娘に語るガロアの数学』(岩波書店)で日本数学会出版賞を受賞。そのほか『小説日清戦争ーー甲午の年の蜂起』(影書房)、『13歳の娘に語るアルキメデスの無限小』(岩波書店)、『方程式のガロア群』『世界はeでできている』(いずれも講談社ブルーバックス)など、数学分野の著書も多数。

「2023年 『「複雑系」入門 カオス、フラクタルから生命の謎まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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