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感想・レビュー・書評
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村木嵐『まいまいつぶろ』
泣いた…、とにかく泣いた。
第九代将軍•徳川家重
生まれつき半身不随で上手く喋る事が出来ない。
筆談をしようにも手が震えるため意思を伝える術を持たない。
頻尿で長時間座ると必ず服を汚し、その汚れた服をひきずって歩くので、汚れた跡がつく。
その姿を見た者が家重をかたつむり、『まいまいつぶろ』と馬鹿にする。誰もが、こんなヤツが将軍になれるわけないだろうと蔑む。
次期将軍の立場と、生まれながらの障害に苦しむ家重の言葉を、唯一、理解し他者へ伝達する事ができた大岡忠光。忠光は家重の心までも深く理解し、通詞としての人生を貫いた。
蔑まれ続けた家重が、通詞•忠光と出会い、将軍になり、世を治め亡くなるまでの2人の人生に心が大きく揺さぶられる。
人を騙し陥れる事があたりまえのような世界で
は特に人の心はうつろいやすい。
何かしらのきっかけがあれば良くも悪くも、一瞬で変わってしまう。長い時の流れに心が澄むことも、淀んでしまう事もある。
家重と忠光は変わらない。
どんな事が起こっても2人の心の軸はぶれない。2人の絆の強さと美しさに涙がとまらなかった。
2人が乗り越えてきたものは最後の家重の言葉に凝縮されているなぁと思った。
『もう一度生まれても、私はこの身体でよい。忠光に会えるのならば。』 -
徳川9代目将軍家重。暴れん坊の8代目吉宗の印象が強すぎて、そう言えば9代目って誰だっけっ?て感じでした。暴れん坊の息子って、えーっそれ下ネタ?じゃなく、言語障害、頻尿症などの障害を持っていたのですね。存じておりませんでした・・・8代目が暴れ過ぎたからでしょうか、いや、出産の際にへその緒が絡んでしまったらしいですね、可哀そうに・・・
で、この家重を暴れん坊が時期将軍として指名した訳を(一番は長男であるからですが)、この筆者は実はもっと他に理由があり、いやいや家重はスゲー優秀な人材だったのではないか、という観点から、その家重の言葉を解する唯一の側近大岡忠光の存在も合わせて、実に感動的な歴史小説に仕立てていただいております。
家重と忠光、これは大谷翔平さんと水原一平さんのようなコンビを見ているようで、今まさにタイムリー、そして昨年の芥川賞を取った『ハンチバック』しかり、障害者をメインとした小説で、これもタイムリー?か、ま、非常に上手く作られた小説だと感心いたしました。あの司馬遼太郎せんせの奥様の個人秘書を勤められている筆者さんだとの事で、他の作品も読んでみたいですね、流石でございました。 -
村木嵐さんの家重と大岡忠光
美しい作品でした。
正月読み初め初泣きでした。
早く続きを読みたいと、借りて観ていた映画が邪魔に思えたほどです。
4日から仕事ですが、当日3時まで読んでしまいました。子供か(^^ゞ
運命に立ち向かう2人の絆と孤独な闘い。 武士文化まだ残る世、侮りや嘲りがどれほど耐え難く忍耐のいったことだったかと2人を不憫に思いますし、比宮や忠音との家重と心通じるところに感極まりますし、忠光や万里の忠義にも感動してしまいます。
そして弟や吉宗への思いや行き違いで何度となく泣けますが、
弟へのつぶやきには感想を書きながら思いだし涙をしてしまいます。
ラストの息子たちの話も大事なエピソードです。忠光は家庭も顧みず、たえず仕えた家重を優先した関係は、主従関係、友人、という関係性では多分説明足りるものでもなく、忠相が忠光をもう一人の自分と覚悟した以上の魂の繋がりを感じさせるものだからです。
この物語の家重は、人格者です。忠光に出会う14までどれほど孤独だったでしょう。
史実も少しだけ調べたり
わからない言葉も調べたりはしながら
この物語が史実だったら良いのにと
没頭できました。
真実、吉宗が実権をにぎっていたとはいえ、8代死後の郡上の訴状の件は史実を元にしているらしいし、言われるほど無能な将軍ではなかったかもしれないと思えてきます。
面白いですね~
ほかのノミネート読んでないけど、これが直木賞にならなければと思う作品でした。
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2024/01/04
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2024/01/04
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語り部の目線が唐突に変わるので、少し読みにくいところもあるけれど、この時代小説、泣けるわさ!お勧めです。
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徳川家重と側用人大岡忠光
言語通訳と忠勤そして友情
作者の創造性はこの作品を暑き友情の産物へと昇華させた
欲を持たぬ人間はいないが、仕事とは何かを考えさせる作品だ
単に封建時代の忠義のレベルではない
現代に置き換えると、障害を持つ人間への理解、思いやりにも通じるところがある
通勤電車で時間を忘れさせる作品である -
徳川家重と小姓大岡忠光の物語。感動で涙が流れました。
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司馬遼太郎ばかり読んでいたので、物足りなさを感じた。しかし主人公の二人はとても魅力的で感情移入してしまう。同作者の他の作品も読みたくなった。
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・第170回直木賞候補作
・日本歴史時代作家協会賞作品賞受賞
・本屋が選ぶ時代小説大賞受賞
「落涙必至の傑作歴史小説」という噂の
とても気になってた本を読みました。
徳川家重は、障害があり、言語が不明瞭で
誰にも言葉が通じない
歩いた後には尿を引きずった跡が残るため
陰では「まいまいつぶろ」と馬鹿にされていた。
しかし、
彼の言葉を理解する小姓・兵庫と出会い
彼の生活が変化していくのだった。
様々な困難を乗り越えていく
この二人の
主従関係にありながらも
友情のようなものでつながる深い関係がすばらしく、
最後には涙が止まりませんでした。
おすすめしたい時代小説です -
徳川家重と大岡忠光の絆を描いた作品。
忠光の評価は史実では分かれるみたいだけど、作品中の忠光は私信なく家重に尽くす忠臣。
「大手橋」の2人の最後の姿が印象的。
えぇ!嬉しい一言をありがとうございますっ
この本を読んだ方の感想を聞きたかったんです
レビュー楽しみにしてます(^^...
えぇ!嬉しい一言をありがとうございますっ
この本を読んだ方の感想を聞きたかったんです
レビュー楽しみにしてます(^^)