- Amazon.co.jp ・電子書籍 (449ページ)
感想・レビュー・書評
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大作だが引き込まれるようにして読んだ。
南米南部の軍事政権がシカゴ学派と結びつき、シカゴ学派の主張する政策を遂行するためにどれほどの酷いことをしたのか、本書で初めて知った。
また南アフリカのANCが、経済面では自由憲章に謳った内容とは正反対の道をとることとなってしまった実情。当時渦中にいた人が、実際どれだけ新自由主義の波の勢いに飲まれずにいることが可能だったか。
ロシアの改革に乗じて多額の個人的な利益を得るアメリカ側のプロジェクトチーム。私たち一般人がマスコミを通じて知らされるロシアの姿は、新自由主義の人々等ににより相当に都合よく歪められたものであると思っておかなければならない。
あらゆるイデオロギーは堕落しやすいが、新自由主義は個人の利益追求が資本主義の活動全体に利すると正当化されてしまうので、とりわけ腐敗を助長しやすいという筆者の説に納得。
シカゴ学派は政治に利用されただけなのかと思っていたら、必ずしもそうでもない、自説の強硬実現にかなり積極的だったようだ。一つうまくいけば、欲に駆られてまた次の破壊を行い、エスカレートする一方。新自由主義が日本でもはやっていた昔、私自身も盲目的にこの新しい考え方を支持していたが、とんでもないことであった。現在の世界、日本の悲惨な状況をもたらした原因の大きな部分を担っていると思う。 -
急進的な民営化や規制撤廃、社会支出の削減など自由市場改革推進をShockDoctrineと呼び、社会的緊張の増大につながると鋭く批判したナオミ・クライン の名著。
政変、戦争、災害など過去広範囲に及ぶケースを検証する。