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感想・レビュー・書評
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月の裏側に広がる醜い部分を見てもなお、表側の美しさを信じることができるだろうか。
話題となっていたのでオーディブルで読んでみました。
伏線回収がすごいと聞いていたので、注意深く読みましたが、終盤の回収まで違和感を覚えはしたけど伏線に気付けず、まさかまさかの連続で面白かったです。
就活の異様とも呼べるあの雰囲気が表現され過ぎてて、なんか個人的に途中胸が苦しくなりました笑
伏線を知った上でもう一度読み直したいとも思いますが、またあの感情になるのが億劫で、しばらく読み返さないと思います笑
なので、かなり自分勝手な評価ですが⭐️4です笑詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「性善説?性悪説?」
人の悩みの大半は"人間関係"の悩みだそうです。
友人関係に悩み、恋愛に悩む。上司や部下、同僚のことに悩む。親、パートナー、子どものことに悩む。
どんな悩みも突きつめると"人間関係"の悩みであることがほとんどです。ではなぜ人は"人間関係"に悩むのでしょうか。それは人という生き物がとても複雑な生き物だからです。完璧な善人はいませんし、完璧な悪人もいません。そしてそんな人間が構築する社会はいわゆる「ヒーローが悪を倒す」という単純な構造ではないのです。誰かの正義が誰かにとっての悪であることがあります。常に正論が正しいとは限りません。ヒーローは常にヒーローではいられません。この複雑さのせいで人は悩むのです。さらに複雑なのは他人だけではありません。自分自身も複雑な人間の一人です。誰しも自分の矛盾した感情に悩み、振り回されたことがあるでしょう。自分のことなのに自分のことが理解できない。他人なんてもっと理解できない。
本書はそんな人間の複雑さを巧みな表現でミステリーに落とし込んでいます。少し立ち止まって考えれば拾い上げられる伏線が沢山ちりばめられています。 -
うーん、没入できなかった。残念。
隣の部屋でモニターしている人事にまずこのコンプライアンス違反を申し立てるべきだし、これを異常事態と捉えず介入してこない人事がある企業には絶対就職しちゃダメでは?
という気持ちになってしまい、それでもこの会社に入りたいと思っている登場人物に1ミリも同調できなかった。
(そもそも人事が入ってこないことが自分的にありえなかったので、隣の部屋で人事が全員拘束されてるとか?とか、へんなことも考えたりしてしまい、読み終わってはぁ、あ、そんな謀略的なお話ではなかったのか…なんてすこし拍子抜けしたくらい)
それを除けば物語の組み立ては素晴らしく、盛り上げと引っ掛かり、いつまでも見えない犯人像、良い人・悪い人・やはり良い人的なドンデン返しなどは楽しめた。あとがきを読んだらそれは作者がものすごくしっかり組み立ていたみたいで、そこの点は感心したし、評価したいので星4つで。 -
細かい人物の描写がすごい。
就活の嫌な思い出が蘇ってくる笑
人を一側面から見て判断しては決してダメだなと思わされた。
完璧な人なんていないし、いろんな面を持って初めてその人なんだなと思いました。 -
面白かった。読み進めていくうちに予想を(いい意味で)何度も裏切られた作品でした。ちゃんと伏線回収もしてくれてすっきりです。ほんと、みんな嘘つきです。いや、何が嘘で何が正しくて、何が善で何が悪でなんて、本当のところわからない。見ているのはある一面だけで、その裏も、そのまた裏もあると思い知らされる。袴田のいじめや矢代の優先席、九賀の障害者専用駐車場など。
また、就活独特の精神状態や採用者側のジレンマも描かれており面白かった。 -
Audibleにて。
やはり本屋大賞受賞作品は面白い。
就活中の大学生たちの話かと思いきや、普通にミステリーです。
ですが、人の本質とはということを考え、途中はひどく人間不信へ陥り、そこから最後には前向きになれる圧巻の作品でした。
人間の悪と善。誰しもある。私もある。
私が今まで気づかずに、またわかった上でしてきた悪行。それと同時に善行。どちらがホンモノなのか。私はどんな人間なのか。そして出会う人、友人、恋人、夫婦、この人たちの本質とわ。
自分のことすらも分からないのに、どんなに同じ時間を過ごしたってきっと他人のことは分からない。
目の前の情報から、その人の悪行だけに目を向けて想像力を働かせて、そこの部分しか目を向けられないことの怖さ。
この日常生活であり溢れているリアリティなお話でした。 -
救いのある小説で、とても面白かった