ハリウッド映画の終焉 (集英社新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 2010年代からのハリウッド映画界は大きく動いており、ワインスタインの性加害から始まった#me tooムーブメント、ユニバース映画の潮流、NetflixやDisney+など配信プラットフォームのブーム、AI技術の加速度的な進化による脚本家、俳優のストライキなど、素人目に見ていてもこの10年は大きなニュースが多かった。

    本著はここ数年の話題を攫ったハリウッド映画16作品から、ハリウッドの現在を読み解いていく。

    自分はすべての作品に目を通していたのもあって面白く読んだのだが、章によってその評の密度にバラつきがあり、ネットで調べたらわかる程度のことでまとめられている章もあったりして、そこは残念でもあった。
    だが本著を読んでいればこの数年間のざっくりとしたハリウッド映画への理解は得られるだろう。

    自分も映画ファンのはしくれとして、映画は今後どうなるのだろうかという危機感を覚えることは多かった。
    特に配信サービスが整備されたこと、そして追い打ちをかけるようにコロナが起きたことでその考えに拍車をかけた。
    コロナの影響でディズニーは控えていた新作を映画館ではなく配信で公開するようになったりと、体験としての劇場はもう機能しなくなってるのかな、と思ったりもした。劇場で流れている作品が過去作のリブートやシリーズものなどで占められることも多い。
    本著でも語られるところだが、ハリウッド大作、話題作ばかりが製作され、小さい作品は配信で掬われる。業界はこういった方向により進んでいくのだろうか。
    一映画ファンとしてはぼんやりとした危機感を、言語化されたこともあって暗い気持ちにもなった。

  • コロナ禍での外出禁止、ストリーミングサービスの勃興など。激動のハリウッド映画の今を、エポックとなる作品をベースに、解き明かす名著。
    映像と映画という言葉の差分に何が有るのか?映画と芸術とは何なのか?劇場に足を運ぶとは何なのか?キャンセルカルチャーに映画作家たちはどう向き合うのか?…etc.映画に限らず、様々な作りてが学ぶエッセンスがたくさん。

  • 映画になじみの薄い者には、難易度の高い本であったような気がします。表紙見返しの文面から、興行的に成立させるために特定の文化を解さなくとも理解でき、成功を勝ち得るような深みのない映画表現への批判的論証を勝手に想像してしまったが、「?」の問いかけに対する自身の想像の誤りでした。映画を愛する方には共感できる良書なのかと思います。

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著者プロフィール

1970年、東京都生まれ。映画・音楽ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌の編集部を経て、2008年に独立。著書に『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(くるりとの共著、新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。編著に『nakata.net ITALY WALK』(角川書店)、『ap bank fes ‘09 official document』(ポプラ社)など。

「2018年 『日本代表とMr.Children』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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