イル・コミュニケーション 余命5年のラッパーが病気を哲学する [Kindle]
- ライフサイエンス出版 (2023年11月30日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (219ページ)
感想・レビュー・書評
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イルは病気の意味で、それが転じてヒップホップではビョーキ、つまりいけているコトをあらわすそうだ。
著者のダースレイダーはラッパーでそれ以前に大病を患い、現在も病と闘う病人でもあり、本書はそんな彼と彼の病気に関するエピソードや、彼が病気になって考えたことが、これの言葉というかビートに乗った言葉で綴られている。一定のリズムがある文体で、彼の話す言葉として書かれた物が彼の声とビートで再生されてくる。
僕も現在病人で、太り過ぎで高血圧を15年前ぐらい、二型糖尿病を10年ぐらい、6年前からはうつ病になりいまもそれぞれ投薬で治療している。それぞれ大事になる前に治療を始められているので、大きな後遺症や入院なども無く生きていますが、友達もほとんどおらず、唯一の親族である兄とも疎遠で、孤独感を抱え、生きる目的を失い、自死への誘惑と共存しながら生きている。
そんな私にとって、ダースさんの本書で綴られたこと、Youtubeの一人語りで話されること、言葉は一つ一つが重いけど、同時に力もらえるし、自分の今の有り様を少しだけ変えようという気持ちにさせてくれ、力になっている。いろいろなことを気づかせてくれ、考えるきっかけにもなる、病気ってやつはそんなに悪いやつじゃないとダースさんに言われている気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オチがいい(笑)
パンチラインを一つ選ぶとすれば、人生というのは答えが直ぐに出るものではなく例えば20年後に突然みつかったりする、というくだり。
和田礼がダースレイダーになって、マイカデリックがあって、DMRになり、最初に倒れるまで淡々と書いていることに同時代の人間としては時間の流れを感じたりもする。