ロスト・ラッド・ロンドン 1 [honto]

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  • honto ・電子書籍
  • / ISBN・EAN: 9784047364844

感想・レビュー・書評

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  • いか文庫の人がバディもののおすすめ作品として朝の情報番組で紹介していたので購入。

    状況証拠からある殺人事件の被疑者となった若者と、真犯人は別にいると直感的に信じるベテラン刑事が、警察の捜査網と絡まりあいつつ、独自に真相に辿り着くという物語。

    3巻で完結

    スタイリッシュな絵と、ミニマルで効果的な台詞。テンポのよい物語の展開。読んでいてすべて心地よい。人種差別、トラウマ、アイデンティティーの問題など、今の時代の雰囲気というか、大事なテーマを淡々とそして巧みに描いている。

    読み終えて、物語を振り返りながら考えた。
    Lost Ladとは誰のことだったのだろう。

    前半は被疑者となった若者、アルのことだと思って読んでいたがしかし、全編を通して彼はとても落ち着いていた。年齢や人種や出自といった表面的な属性だけをなぞっていけば、もっとlost-悩み迷う最中でもおかしくないのに、彼はどこか達観しているようなところがあって、状況が緊迫していても基調は静かだ。

    刑事の過去にまつわる若者。真相の中心にいる若者。もしくは若かりし日の刑事その人。その中の誰かを指しているのかもしれない。そうではないのかもしれない。
    作者はそこをはっきりとは語っていないのが文学的で面白かった。

    次の作品が楽しみな作家に出逢えてうれしい。

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