宇梶静江 著者紹介宇梶静江(うかじ しずえ)1933年、北海道浦河郡生まれ。20代で上京、働きながら苦学。その後結婚、2児の母となる。次々に頼って上京してくる同胞のめんどうをみながら、1972年、朝日新聞の投書欄に「ウタリ(同胞)よ、手をつなごう」と呼びかける。これが反響を呼び、関東圏のアイヌ復権運動の草分けとなる。同時にアイヌであることを伏せて暮らす同胞の反感も呼び、苦悩の日々の始まりでもあった。小さいころから絵が好きで、大人になってからは詩作や演劇にも没頭、しかし本当に絵の制作に時間がさけるようになったのは60歳をすぎてから。アイヌの刺繍を生かした古布絵を編み出してからは、アイヌであることの喜びを深く実感して、心が解放されていった。ただの一度も自ら戦争をしかけたことのない民族としての誇り、自然を崇めるアイヌの豊かな文化を、若いアイヌ世代に伝えたいと、一針一針に願いを込めて制作を続けている。本作は二作目で、一作目はアイヌ神謡集(カムイユカラ)からの再話による『シマフクロウとサケ』(福音館書店)で、三作目も進行中。千葉県在住。
「2008年 『セミ神さまのお告げ アイヌの昔話より』 で使われていた紹介文から引用しています。」