美味い酒は美味い原料から。
この本に書かれているのは、最後の二章を除いてすべて、原料づくりから手がけている蔵元だ。
酒づくりよりもむしろ米づくり、芋づくり、ブドウづくりに情熱を燃やす姿は、酒が土地のもたらす恵みに他ならないことを再認識させてくれる。
最後の二章は、2011年の東日本大震災で被災した蔵元が登場する。
日本で一番海に近い蔵元、福島県浪江町の鈴木酒造店は、ちょうどその前の年に『土耕ん醸』という酒をのんでファンになったばかりだった。
津波で流されて蔵が全壊という話を聞いて心配していたのだが、山形で復活したと聞き、いちファンとして、とてもうれしかったのを覚えている。
いつかまた、どっしりとした骨太の『土耕ん醸』をのんでみたい。