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- ブックライブ ・電子書籍
- / ISBN・EAN: 9784001141115
感想・レビュー・書評
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幼くして身寄りを失くし、養父母に大事に育てられながらもつらい過去を克服できずに心を閉ざしたままのアンナ。静養のためにやってきたノーフォークで不思議な古い屋敷を見つけ、そこに住む少女マーニーと友達になる。ひと夏の出逢いと別れを通して少女の成長を描いたファンタジー。
アンナの抱える悩みは、思春期に誰でも多かれ少なかれ直面する問題だろう。そこは非常に細やかに描かれ、解決に至る過程も丁寧で実感がこもっている。本書に思い入れを抱く読者が多いのもうなずける。
以下はただの(しかもあまり感じのよくない)感想。序盤でこれは『トムは真夜中の庭で』のような話だろうという見当はついた。しかし全てがもっとふんわり、曖昧模糊としている。
アンナにとってマーニーと会うことは異界に行くこと。しかしその「結び目」が判然としない。なんとなく会えたり、突然いなくなったりして法則性がない。これがなんとも気持ちが悪い。さらにアンナが突然「マーニーはあたしが空想で作り上げた女の子」と言い出したりしてたいへん混乱する。
また、マーニーはアンナとは別種の深刻な問題を抱えているのに、それもごくふんわり触れられ帰結も示されない(とわたしは感じた)点も非常に気になった。
そもそもアンナとマーニーの心の結びつきにあまり憧れを抱けないのは、単なる好みの問題だと思う。然るべき年齢の時に読んでいたら、もっと良さが理解できたのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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