希望格差社会: 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫 や 32-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2007年3月1日発売)
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本棚登録 : 668
感想 : 72
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格差社会の到来と言われて久しいが,これまでは格差の実態について,収入などの「量的格差」に議論が向きがちであった。
しかし本書では,格差の根本にある仕事能力による格差拡大を指摘し,単純労働から抜け出すことができない人の急増,いわゆる「質的格差」の存在を明らかにしている。そしてこの「質的格差」を自覚した人びとが,仕事や将来に対する「希望」を見いだせなくなっているのが現在の日本社会というのだ。
職業は,人びとにアイデンティティを与える。アイデンティティが見いだせない社会構造はやはり問題であるし,結果的に将来の重大な社会不安定要素に繋がる。これを警鐘した本書の意義は大きい。

ただ,教育に対する考え方に違和感を感じたこと,重複する説明が多く,無駄に読み疲れたので星3つ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2011年11月23日
読了日 : 2011年11月23日
本棚登録日 : 2011年11月23日

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