うつくしい子ども (文春文庫 い 47-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2001年12月7日発売)
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幼女を殺害した弟の真理に寄り添おうと決意する兄が、夜の王子と闘う苦難と成長の物語。
画一的閉鎖的な学校空間で得られた価値ある友情と、人知れず築かれていた王政がだんだんと暴かれる過程は学園ミステリ感が楽しめてとまらない。爽やかな友情と誠実な感性が眩しい青春風味は石田先生らしく、その分 真相と対面してからの展開の後味悪さが際立った。もっと軽めの着地を予想させたけどなぁ。全体としてはよりたくさんの人が傷つき血を流す陰惨な話だった。そう思うと加害者親族視点で問題を捉える本作として、エンタメ性に寄って主軸から逸れたような印象もあった中盤の謎解き部分はまさに装飾パートであり、加害者親族として経験する感情と、最終章で重ねられた絶望感こそが本題なのかも。濡れたビー玉の目をした弟との面会は、多分その精神状態という発想がなくて素直にショックうけたし、それも現実だとなんだか府に落ちてしまった。。思った以上に救われないはなしで、びっくり。でもだからこそ心に残る作品だったとおもう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年11月24日
読了日 : 2015年8月31日
本棚登録日 : 2015年5月13日

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