NOISE 上 組織はなぜ判断を誤るのか?

  • 早川書房 (2021年12月2日発売)
3.96
  • (13)
  • (20)
  • (11)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 220
感想 : 10
3

個人的まとめ
下記の記事の力を借りて
https://www.hayakawabooks.com/n/n99d2e4a9685f

▼「NOISE」とは?
・意思決定が失敗する理由はバイアスだけではなく、それと同等か、それ以上に影響力の大きな要因=“ノイズ”がある
・ノイズ:意思決定や判断時に生じる「ばらつき」
・重い量刑を科すことに対して、「あの裁判官は黒人に偏見がある(バイアス)」と、「あの裁判官は軽犯罪に対してもきびしい判決を出す(ノイズ)」
・判断を射撃に例えると、以下の通り
 a.すべての射撃が的の真ん中に射抜く→正常な判断
 b.すべての射撃が的の左側の一箇所に集まる→バイアスのかかった判断
 c.すべての射撃が的全体にずれる→ノイズのある判断
 d.すべての射撃が的全体の左側にずれてかつばらつく→バイアスもノイズもある判断
・判断のあるところには常にノイズが発生する

▼NOISEの要素
①レベルノイズ:きびしい裁判官」と「甘い裁判官」のばらつき
②パターンノイズ:囚人の保釈審査官は、午前中と昼食後の審査が甘く、昼前と夕方は審査がきびしい
③機会ノイズ:判断者の個性や個人的な事情が含まれるノイズ。きびしい裁判官も、高齢女性の軽犯罪には(自分の母親を思い出して)温情を見せる
→パターンノイズの比重が大きい

▼NOISEをなくすには?
・よい判断と相関する「高い一般知性」「衝動にとらわれずに熟考する認知スタイル」「開かれた思考態度」を持つ人材が判断をする
・相談できる第三者を持つこと
・判断を機械(AI)に委ねる
・アルゴリズムにバイアスが混入することはあり得るが、人の判断にはそれ以上のバイアスと、加えてノイズが入る。だから機械の方がマシ。
・「ノイズ検査(本書の付録)」「判断ハイジーン」「媒体評価プロトコル」を用いる

▼「判断ハイジーン」
・「ハイジーン」は「衛生管理」を意味し、「判断ハイジーン」は、手洗いといったウイルス感染症対策のように、特定できないノイズという「敵」の発生を未然に防ぐためのもの
・判断ハイジーンの6原則
①判断の目標は正確性であって,自己表現ではない
②統計的に考える
③判断を構造化する
④直感は最後に一度だけ
⑤複数の独立した判断を統合する(群衆の知恵)
⑥評価は基準に対する相対的な尺度で

・「媒体評価プロトコル」:選択肢の評価を構造的に行う手法。インタビューでいう、半構造化面接ではなく構造化面接。「群衆の知恵(複数人の独立した判断の統合)」を活用。

▼客観的無知
・「さまざまな偶然の要素が入り込むので先のことはわからない」ということ
・客観的無知とノイズによって将来予測は大幅にぶれる
・カーネマンによればこのような社会科学における25,000件の調査研究(対象は800万人以上、期間は100年)では、「予測の平均的な相関係数は0.21」

【思ったこと】
・出てきている事例や研究が、答えが明確だったり答えのレンジが決まっているものが多かった印象。例えば、群衆の知恵で出てきた正解の数字を当てる例など。機械(AI)に委ねるのはやはり答えのレンジが限定されていて、尚且つ問いも明確な場合?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 行動経済学
感想投稿日 : 2022年8月26日
読了日 : 2022年8月22日
本棚登録日 : 2022年8月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする