まだ温かい鍋を抱いておやすみ

著者 :
  • 祥伝社 (2020年5月14日発売)
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本棚登録 : 2023
感想 : 156
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何か人間として欠けていたり、人と違った考え方を持っていたりする主人公が初めてだったから新鮮だった。初めて綾瀬さんの作品を読んだが、マイノリティーな人たちの立場に立って、細かく心情描写できる凄い人だと思った。

「ひと匙のはばたき」
周りに馴染めない女の子が、自分の中に鳥を飼うことで周りの考えを理解できるようになる。"この人から鳥を感じる"というのが、実際に身体の中に鳥を飼っているという切り口がファンタジックで予想外だった。

「かなしい食べ物」
彼女が枝豆パンを作って欲しい理由。居心地が悪い彼女の実家。それらを知った彼は別れるんじゃないかなと思ってしまった。自分を受け入れ、同じ速度で歩いてくれた人だから自分も同じようにしてあげたい。そんな風に思える心を単純に凄いと思った。

「ポタージュの海を越えて」
母親は自分の好物をわかってくれているが、自分は母親の好物は知らない。母親の見方を考えたことがなかった。家族のことを想い、今日もご飯を作る母。もっと母親の好きな「食」を知って食べさせてあげたいと思った。

「ミックスミックスピザ」
旦那も子供も好きだけど、ふと思い立って不倫をした女性。ノコノコついてきたのは何故か聞かれた際の「前食べたラブホのミックスピザが美味しかったから」という回答は、センスがあってある意味カッコいい。明暗どちらも含んでいるような終わり方が印象的だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年1月16日
読了日 : 2022年1月16日
本棚登録日 : 2021年1月11日

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