あっかんべェ一休(上) (講談社漫画文庫)

著者 :
  • 講談社 (1998年10月8日発売)
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本棚登録 : 182
感想 : 18
5

「とんち坊主」のイメージが強い一休宗純の、誕生から晩年までを丹念に描く坂口尚入魂の作であり、同時に遺作。
天皇の子として生まれながら、幼いうちに親元を離されて仏門に入り、「日本仏教」の形骸化と堕落を目の当たりにしながらも、真の仏教・人の生きざまを真摯に模索して行く一休の姿が胸に迫って来る。
一方で坂口尚の絵と画面構成の上手さにも唸らされるばかりで、つくづく惜しい人を喪ってしまったと読むたびに実感する。
同族・兄弟が敵味方となり、裏切り・寝返りの絶えない南北朝期は、非常に分かり辛くとっつきにくい時代背景なのだが、その辺りの説明も分かりやすくて良い。
また、もう一つの柱として観阿弥・世阿弥らのストーリーが絡んで来る構成も見事。
地味な作家・地味な作品ではあるのだが、間違いなく名作。是非どうぞ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2010年10月17日
読了日 : 2010年10月17日
本棚登録日 : 2010年10月17日

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