毎回毎回心を熱くさせてくれるこの作品だが、今回は自分の想像の更に上を行く展開で、鳥肌が立った。
惜しまれて休刊した伝説の雑誌「FLOW」のエピソードも、新人漫画家の東江ちゃんと合理的すぎる編集者安井さんとの絡みも、とりあえずは終わったものだと思っていた。それが…「FLOW」がこんな形で蘇るとは!安井さんの本気を感じ、胸が熱くなった。
東江ちゃんの再出発もまた嬉しい。まさか、また安井さんと対峙することになるとは思わなかったが、そこに心も絡んでそれぞれの情熱がぶつかり合い、それぞれに一皮剥けていく。
スランプに陥りかけている伯君の、父親との再会。複雑な思いを抱えた状態での再会は、これまた想像を超えた展開で…とにかく今回は、ベタな流れしか思いつかなかった己の想像力の貧困さをこれでもかと感じたのだった。壁を乗り越えることの苛酷さ。時には「勝てない」ことを認めることも必要。そして、新たな立ち位置から見えてくる景色。どこまで柔軟になれるだろうか…自分の弱さを見つめ、違う角度からアプローチしてみる強かさをカッコいいと思った。それは、猪突猛進一辺倒だった心がカーヴを覚えたり、デジタルを毛嫌いしていた高畑先生が、紙にも電子書籍にも通用するコマ割りを考え出したりといった、登場人物達の真摯な姿勢。
「FLOW」のこれから、そして伯君や東江ちゃんの更なるステップアップも楽しみだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2018年12月25日
- 読了日 : 2018年12月25日
- 本棚登録日 : 2018年12月14日
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