寒椿 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2002年12月25日発売)
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本棚登録 : 353
感想 : 25
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昭和初期。高知の芸妓子方屋「松崎」で出会った4人の娘、澄子・民枝・貞子・妙子。共に修業し芸妓となり、それぞれの道を歩んでゆく。
過酷な芸妓道。大陸に渡り、恋をし、終戦、引揚げ、戦後の混乱からの立ち直り…四者四様の生き様を、かつて姉妹のように過ごした「松崎」の娘・悦子が辿っていく。
幼い時を共に過ごしてきたからこそ、互いの境遇を羨んだり妬んだり、見栄を張ったり突き放したりする。それでも再会すれば、長く隔たっていた距離が一気に詰まるあの感じ、すごくよくわかる。彼女達に降りかかる苦難の数々はあまりに壮絶だけど、この骨太な物語から立ち上る、生きることへの執念に、心が揺さぶられる。
濃密な宮尾ワールド、もっともっと味わいたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の作家
感想投稿日 : 2023年5月18日
読了日 : 2023年5月18日
本棚登録日 : 2023年5月15日

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