藤野涼子が初っ端からトップギアで動くのは爽快である。高木教諭とのやりとりは高木教諭に分が悪い、感情だけの怒りだけで論理的でない。反面、副委員長の井上の方は論理的すぎる。
涼子を中心に行夫、健一、まり子が集う。そこに大出の元カノのケイコが加わり、大出の事がわかり始める。
ここまでの各人の考えや想いが複雑な模様を描いて、今後の展開にわくわく感を与えてくれた。
学校内裁判へ向け涼子が動く、高木は陰で阻止しようとするのが滑稽に映る。真実の追求に向けて有志たちが、弁護士側、検事側、陪審側、そして判事を決めて行く。今まで憶測で動いていた事が明らかになっていくのは、宮部みゆきさんのミステリーらしさが出ている。
しかし、ひとりひとりの登場人物とその背景が見事に整理されて描写され、よく練り込まれている作品だ。長編だが、軸がしっかりしているのでブレないし、読んでいて時間を忘れてしまうほど引き込まれていく。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宮部みゆき
- 感想投稿日 : 2023年5月27日
- 読了日 : 2023年5月27日
- 本棚登録日 : 2023年5月24日
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