イニシエーション・ラブ (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2007年4月10日発売)
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キャッチコピーは
『「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。僕がマユに出会ったのは、人数が足りないからと呼びだされた合コンの席。理系学生の僕と、歯科衛生士の彼女。夏の海へのドライブ。ややオクテで真面目な僕らは、やがて恋に落ちて……。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説──と思いきや、最後から二つめのセリフ(絶対に先に読まないで!)で、本書はまったく違った物語に変貌してしまう。』

淡々として、あまり起伏のない盛り上がりに欠ける恋愛ストーリーだなあ、とパッパッと読み飛ばしてはいけない作品です。ストーリーはカラクリ屋敷のようになっているのです。

ちなみに、80年代の記憶が鮮明に残っていて、さらに『男女7人…』『BOØWY』などをよく知っている世代なら楽しめても、逆に若い人にはわかりにくいかなあ、と思いました。
例えば
免許をとって、私が車を買い換えていく中、カーステレオは、カセットテープ→CD→今やBluetooth! と移り変わっています。カーステレオのカセットテープはなんというか、時代を感じます。当時のヒット曲が、小説各章のタイトルになっています。
そして、携帯電話がない公衆電話の時代、テレフォンカードの度数が少なくなっていく描写も、すごくよく分かりました。
国鉄民営化してJRになったのもこの頃なのか、と思い出しました。

ネタバレになりますが、side-Aとside-Bで、「違う人っぽいな」というのは感じると思います。そして私は、最後のセリフで、「おおっ」と唸ることになりました。
伏線のつながりを理解するには、時系列の整理が必要です。
そこで、究極のネタバレサイトのご紹介です。
『ゴンザの園』さん! イニシエーション・ラブ解説サイトと呼ばれているそうです。

イニシエーション・ラブの舞台は静岡市。
とても親近感がわきます。なぜなら、私の息子は静大卒だからです。
80年代の静岡市と現在の静岡市では、だいぶ様変わりしているかもしれません。
静岡市、いいところですね。海岸沿いの道路を車で走りながら、いきなり左手に巨大な富士山が姿を現した時は、とても感動したのを覚えています。右側に海、左側に富士山なのですから。
そして、なんと言っても、『さわやか』と『ジャンボエンチョー』です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 国内 男性作家
感想投稿日 : 2023年12月29日
読了日 : 2023年12月29日
本棚登録日 : 2023年12月29日

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