前作に引き続き猫好きの方からお借りして読んだ。前作から時系列に話が進んでいるが、より主人公のタフが皮肉っぽくなってきた。登場人物の一人が言ってるが、だんだんタフ自身が自らを神のごとく考えているかのような言葉だしふるまいなのだ。だがそれは、彼が環境エンジニアとして相手にする人々があまりに愚かだからだ。「魔獣売ります」の依頼人たちは自分たちの名誉と楽しみのために動物たちを殺し合わせ、その戦いに勝つためにタフを頼ろうとする。「タフ再臨」「天の果実」では限られた資源しかないのに無節操に人口を増やし続けている人々が、食糧危機を解決しようとタフの胚腫船を奪おうとする。滅亡の危機に立ってもなお愚かさを直視しない者を救おうとするなら、タフのように冷酷に果断な処置をとる事が必要だ。ひょうひょうとしているタフが、人類への重大な決断を一人で背負おうとする姿に慄然とする。”神”という存在は恐ろしく孤独なものなんだなって思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2019年11月28日
- 読了日 : 2019年11月28日
- 本棚登録日 : 2016年12月3日
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