ドナウの旅人(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社 (1988年6月29日発売)
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☆1982年筆者6か国(西ドイツ、オーストリア、ユーゴスラビア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア)取材旅行 1983年11月5日~1985年5月28日 朝日新聞連載小説

29歳麻沙子 50歳母
P35 ドイツジョーク きれいな娘がいつも豹の背に乗って散歩した。あるとき、娘は豹に乗って森の中へ入って行った。娘の姿は消え、豹がお腹を大きくさせて帰って来た。

P56 フランクフルト ドームと呼ばれる聖バルトロモイス教会の近くの橋を渡ると、マイン川の南側にりんご酒の本場であるザクセンハウザンがあった。

レーゲンスブルク(雨の砦の意) ローマ時代起源、中世の商都→きっと立ち寄るハズ

ヴァルハラ神殿…長瀬はさっき、神殿の入口で、この世のものとは思えない田園風景を前にして、絹子を娘に返す場所をヴェルト村か、あるいはほかのバイエルンの村々のいずれかに決めた。

グリュウワイン

借金4億6,000万円・460万マルク

パッサウ ドナウ川とイン河の合流地点で、西ドイツの東のはずれ。オーストリアとの国境の街
…聖シュテファン寺院の大聖堂の前に来て歩調をゆるめた。礼拝か、あるいは見学かを終えて出てきた巡礼団の団体がひしめいていたのだった。多くは老人たちであった。それぞれ胸に名札をつけ、引率者がきちんと整列するよう促している声を無視し、大聖堂を背景に記念写真を撮っていた。シギィは巡礼団の老人たちをかきわけ、イン河のほとりへ降りる石段を下った。右手に長い橋があった。その橋を渡ればオーストリアである。

ヨハン・シュトラウス号は、3時24分にウィーン西駅へ着いた。

尾田 シェーンブルン宮殿
麻沙子「まだ6歳か7歳のモーツァルトが、この宮殿でマリー・アントワネットに、いつかぼくのお嫁さんにしてあげるって言ったそうですわ。伝説ですから本当か嘘かは判りませんけど」

「デザートは、ホテル・ザッハーのチョコレート・トルテにしませんか。ぼくがご馳走しますよ」
麻沙子「私、ホテル・ザッハーって、あんまり好きじゃないわ。コーヒー・ショップには、日本人の若い女の子がうようよしてるんだもん。どうせ女性雑誌で読んだんだろうけど、ホテル・ザッハーでチョコ・トルテを食べるためにウィーンへ来る二十歳前後の女の子がいっぱいいるのよ。一度、ウィーンの駅で訊かれたことがあるわ。ザッハー・トルテって、どこで売ってるんですか、なんて。そんなお菓子、どこにもないわよ。ただのチョコ・トルテじゃないの。私、日本人で嫌いよ」

P386 ホテル・ザッハーは、オペラハウスのちょうど裏側、ケルントナ通りの入口から少し横に入ったところにあった。四人はコーヒー・ショップの窓ぎわの席に坐った。
「デーメルっていう喫茶店があるんです。そこのチョコ・トルテも、ホテル・ザッハーのチョコ・トルテもおんなじ味ですわ。昔、ホテル・ザッハーとデーメルとの間で、チョコ・トルテの本家争いがあったんです」

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感想投稿日 : 2021年6月23日
本棚登録日 : 2021年6月15日

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