太陽を曳く馬 (下)

著者 :
  • 新潮社 (2009年7月25日発売)
3.40
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本棚登録 : 719
感想 : 90
3

かなり時間がかかりながらも読了。
主人公がすっかり事勿れになってしまったかと思いきや、下巻の出だしで早速上司の不興をかっていて笑ってしまった。定年まで大過なく過ごせるのかと心配になるが、お歳暮の増額は忘れないらしい。
精神不安定でしょっちゅう自分にダメ出し、安定の繊細さにもかかわらず、対外的には切れ者の刑事で、それなのに今一つ世渡り下手で不器用なところは変りなく、合田ファンとしては安心。

事故が起きる背景となった、異物である末永と他の雲水たちとの軋轢を明らかにするには、禅宗とオウムの宗教としての違い、それに対する各人の解釈が出てくるのは当然なのだが、深すぎて所々しか理解が及ばなかった。
そして、それとは別次元となる寺の存続としての思惑や諸々。とりあえず浮世離れして見える明円が食えなさすぎる化け物だったということ?

末永のたどり着いた先が、自分の問いへの答えを得る事ではなく、周囲との溝に自らの病の結果の事故(なのだろうか)。
ひたすら生きにくかったであろう彼の人生を思うと切ない。

物語の流れを追うのに精一杯で内容を理解しきれていないため、間違った解釈や理解をしているだろうとは思いつつ、私には難解で再読するのはちょっと難しいかも…。残念。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月20日
読了日 : 2023年9月20日
本棚登録日 : 2023年9月16日

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