ルポ東大女子 (幻冬舎新書)

  • 幻冬舎 (2018年3月29日発売)
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"女の子なんだから東大なんて行かなくてもいいじゃない""下手に東大なんて出たら結婚できなくなる"

男子であれば最強のブランディングである「東大卒」という看板が、女子ではまるで「レッテル」かのように、マイナスに見られたり、自分自身のコンプレックスやプレッシャーになったりする。

女子に求められるものが、素直さ、愛嬌、控えめであることなど、いわゆる「女はちょっとバカなぐらいがかわいい」という、昭和の意識から変われてない強烈な中高年男性社会ジャパン…

それを変えるには「社会の意志決定層に女性を増やす」最先鋒である、東大に女子が増えること。だから本当は"女の子こそ東大に行った方がいい"。そして多大なる選択肢の中から人生を選んでほしい。

もし私が東大卒で揺るぎないキャリアを手に入れていたら、家事育児を夫から一方的に押しつけられて、キャリアを諦めることもなかったのかもしれない。
そう思う一方で「娘に東大を目指してほしいかは微妙…」と感じてしまう私も、きっと昭和のスタンダードから抜け出せてないんだろうなぁ。

(ちなみに娘はまだ小一だし、自分自身は東大を目指したこともない学力なのですべて妄想)

<以下本文より意訳抜粋>

●男性中心社会において、女性に対する「客観的な評価」そのものがすでに無意識の偏見(バイアス)によって、客観性を損なっている。
・パフォーマンスバイアス
・パフォーマンスアトリビューションバイアス
・コンピタンス/ライカビリティトレードオフバイアス
・マターナルバイアス

●献身的というステレオタイプのせいで女性は犠牲を強いられ、しかも報われない。男性同僚の仕事を手伝っても、育児や家事をしてもこの「ジェンダー・ディスカウント」がおこる(コロンビア大フランク・フリン教授)

●夫の1日3時間の家事労働が、年収1000万の妻の労働継続を可能にすれば、家事労働の時給は1万円に相当する。
(東大のジェンダー論講義 教養学部 瀬地山角教授)

●東大出身の男性でバリバリ仕事しながら子ども3人というケースで、彼らは「欲張り」とは言われない。なのに女子では無意識にその表現が出てくる非対称性。

●相手の学歴さえ問わなかったら、一番選択肢があるのな東大女子。けれどその選択肢が豊富かつ高レベルだからこそ葛藤が強い。

●「男vs女」ではなく「競争vsケア」。
妻の自己実現や世帯収入よりも、自分の死後実現や出世欲を優先するのが当たり前、という考えを手放す男性が増えなければ、このジレンマは解消しない。

●女性であれ男性であれ、仕事と家庭の両方の責任を持つ人たちは、キャリアの面で妥協を強いられ、代償を支払っている。これは「女性の問題」ではなく「育児の問題」。私たちの社会は、性別に拘らず、他者の面倒を見る人より、自分のキャリアに時間をかける人を上だと考えている。それが社会の歪みと差別の根源。

 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 離婚したい
感想投稿日 : 2021年4月29日
読了日 : 2021年4月29日
本棚登録日 : 2021年4月22日

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